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スネップを救え!2012/07/15 [政治]

 筆者が朝通勤する際に見る光景がある。開店を待つスポーツジムに並ぶ人々。こざっぱりした服装。ほぼ65歳以上の高齢者の方々だ。そのそばを20代の女性が駅へと急ぐ。ファーストファッションで固めた身なりは地味だ。富の世代間格差。21世紀の日本の今を象徴している。
 「60年代に生まれ80年代のバブルを体験したかった。
20代後半の女性は筆者にこう語ってくれた。80年代初めに生まれた彼女は事務の派遣で青山の会社に勤めていたが6月一杯でリストラされ、現在は無職。地方から上京している彼女は1人暮らし。自宅の安アパートで漫然とした日々を送っている。失業保険と貯金の取り崩しでしのいでるそうだが将来に不安を募らせる。 SNEP(Solitary Non Employed Parsons)という概念があるそうだ。日本語では「孤立無業者」と呼び、定義は「20歳以上59歳以下の在学中でない未婚者でふだんの就業状態が無業のうち、一緒にいた人が家族以外にいっさいいなかった人々」という。こうした無業者の調査を実施してきた東京大学の玄田有史氏が中央公論8月号にリポートを寄せている。
 SNEPは2006年に日本国内に106万人いるとされ、10年間で2倍近い増え方なのだという。職もなく未婚の状態は自ずと社会から孤立していく。一人型のSNEPは2人に1人が1年間に社交をまったくしない。中高年のSNEPの孤立化はさらに高まる。その日常はとにかくテレビを見ているのだという。もうひとつ時間を費やしているのは睡眠。やることがみつからず結局テレビを見るか寝ている生活。ネットに耽溺しているわけでもなく「インターネットのバーチャルな世界でも、孤立している(玄田)」。社会から距離を置くあまりあらゆる活動が消極的になっていく。SNEPが増加し続ける生活保護受給者の温床となっている可能性が大きいと玄田氏はいう。現在行っている社会生活基本調査でもその実態が明らかになるだろう。SNEPの将来は絶望的な情況がまっている。人知れずアパートで孤独死する老人を伝えるニュースが増えているが、これがニュースにならないほど恒常化する。「社会」を経験したことのない孤立化した「集団」の絶望的な最期。玄田はいう「政府の手で100人のニートを自立させることは難しい。むしろ100人のニートを支援できる10人の若者を育てて欲しい。政府が若者を支援する若者を支援することは,もっと大事だ」。筆者も同意だ。大学時代の筆者もそういえば「睡眠とテレビ」の4年間だった。だがいずれ社会に出ることを前提とした生活だった。誰もがSNEPになる可能性を秘めている。50歳の男性の内その2割が独身という日本社会なのだ。 スポーツジムで自らを磨き鍛える団塊世代より上の人々。身近にSNEPがいたら声をかけてほしい。筆者も同じくそう処したい。


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