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時代劇の制作現場 [政治]

 たしか春日太一の著作で知ったことなのだが、時代劇の制作現場は70過ぎの高齢者と20代の若者によって担われているのだという。テレビの時代劇全盛は60年代後半から70年代半ば。各局が京都の撮影所でウィークリーの時代劇を放映していた。それから40年。時代劇は年末年始か今週放送の「必殺シリーズ」の特番でしかお目にかかれなくなってしまった。理由はテレビ局に金が入らなくなったからである。ドラマは制作費がかかるが、時代劇はさらにかかる。ゆえに経費節減でまっ先にカットされるのが時代劇というわけである。しかしこれは今に始まったことではなく、80年代、90年代からそうした傾向は始まっていた。制作現場はまず若いスタッフから減らし始める。20代の若い世代は「この業界は先がない。今のうちにやめといたほうがいい」という判断もあろう。その積み重ねが二十年、三十年を経ると作り手が70歳代しか残らなくなる。もちろん現場に若い世代は必要だ。夜を徹する作業が常識の世界。体力が勝負だ。だが20代の若者達は使い捨てであり、上には仕事を減らしたくない長老達がたくさんいるため、上にあがることはまずない。30代、40代が家族を持って働く職場環境ではない。結果70代の高齢者と使い捨ての20代の若者だけの制作現場となってしまう。同じような環境はたぶん人形劇でもそうではないか。これでは次代の担い手が育たなくなる。時代劇チャンネルが人気だという。70年代の時代劇はいつみても見応えがある。その時代は才能ある作り手達が集えた環境があったからだ。ネットの時代になってクリエーターに金が落ちなくなったといわれる。NHK以外のテレビ時代劇は商業的に成り立たない。今の作り手はネットのアーカイブスにあるかつての傑作とも戦わねばならぬ。やせ細る制作現場。時代劇の制作現場はその象徴だ。 

 


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