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小津安二郎と劇場音楽 2013年12月11日 [政治]

 面白いもので筆者が初めて小津安二郎に振れた一昨日12月9日は「秋刀魚の味」の出演者、佐田啓二の命日であり、明日は小津の誕生日であり命日である。別にどうってことはないが、面白い時期に小津に出会えたものである。小津は生誕日と没年日が同じだがこれと同様なのは例えば坂本龍馬。ちなみに、である。
 さて昨日DVDでまた「秋刀魚の味」を頭から最後まで観た。こう思ったのは音楽の使い方である。笠智衆演じる主人公の息子(佐田啓二)が会社の屋上でゴルフの練習をしているシーンなどにかかる音楽は、とてもレトロ臭が漂う。その記号でこの時代の音楽をCM使っている位だ。あんまり伝わらない。が、あくまで今から見るとだ。音楽を縦軸に使っているといえば「軍艦マーチ」我々にとってはパチンコ屋にかかるBGMだがこの時代の人々にとっては海軍の様々なシーンを想起させる。主人公の平山周平(笠智衆)はBARでかつて自分が駆逐艦朝風の艦長をしていた時代の部下坂本(加東大介)と会うがその際坂本が軍艦マーチをかけて往時の思い出に嬉々としているのを覚めた態度で見守る。それが娘が嫁いだ夜、酔いつぶれた平山は軍艦マーチを自ら鼻歌で謳う。そして映画の劇場音楽は弦楽曲の軍艦マーチをあわせる。戦争体験と距離を置いて生きてきた平山が娘を嫁にやり、今いる次男の息子が結婚してしまった時の孤独。(孤独死が常態化している今で言えうと甘い!なわけであるが)それを思うときやはり平山はそれまで自分を装ってきたものが崩壊し、海軍軍人としての自分に戻ってしまう、そんな人間の有り様を表現しているのが軍艦マーチの使い方なわけである。などと小津信者にはいわずもがなのことかもしれないが、こういうことを発見したり、思ったりすることが筆者には楽しいし新鮮なわけである。請容赦。


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