新卒ニート3万人・日経一面2012年8月28日 [ニュースコメント]
フリージャーナリスト盛衰2012/07/10 [ニュースコメント]
関口宏が「テレビ屋独白」という著書でまともなジャーナリストがいなくなったという発言をしてる、そうだ。テレビでスポーツ紙を紹介したのをみて、それをうろ覚えで書いてるからこんな曖昧な表現なのだが。新聞を、しかもスポーツ紙の三面記事をテレビで紹介されたものをあいまいに記憶して、それを会社や友人達の間でネタに話す。普通の日本人のよくあるパターンである。話がよれた。
最近気がつくのは所謂「フリーのジャーナリスト」が画面から消え、雑誌からも消えたなということ。湾岸戦争やアフガン、イラク戦争では企業ジャーナリストの行かない危険地域に自ら望んで出向き、北朝鮮報道でやオウム事件では国内にあっても身の危険を感じながら誌面やブラウン管(もはや死語)に顔をさらしたフリーランスのジャーナリストたち。大物系はテレビコメンテイターとして辛うじて生き残ったり、どこかの大学教授におさまったりしているがそれ以外の面々は糊口の道をいかがしているのであろうか。なぜに彼等は露出を減らしてしまったのだろうか。出版業界では月刊誌の廃刊の休刊が相次ぎ、取材費を出してルポルタージュを書かせる仕組みが毀れてしまった。講談社はG2というノンフィクション誌を創刊したがうまくいってそうに見えない。大手新聞社もまずいくつかの社が週刊誌やオピニオン誌を廃刊した。新聞社系の週刊誌はフリーにとって恰好の働き場であった。ここから後にノンフィクション作家として名を馳せる幾多のジャーナリストが輩出した。
テレビ業界はどうだろうか。確かにコメンテイターとしてのフリージャーナリストの居場所は今でもある。しかしよく御覧になればそこには弁護士やエコノミスト、タレント、映画監督など他業界の人間との居場所争いの場だ。しかもジャーナリストの発言は「説明責任」「説明不足」「透明性」「公開」「コンプライアンス遵守」「拙速」などどこかで聞いたキーワードで組み立てた常套的な分析が多く、ホントの意味で情報を持っているゲストが来たときにその危うさが露呈する。ジャーナリストなら自社の記者で十分だし、お金がかからないのだ。
フリージャーナリストの苦境の原因は日本経済の衰退が一番の理由ともいえる。テレビは広告費減少でこの10年以上ものあいだコストカットが続いている。トヨタや松下、ソニーのCMがめっきり少なくなり、サプリメントやモバイルゲーム、パチンコ機(これも実は減った)のCMばかり。自動車産業や家電は海外に広告費を投入した方がより効果的であり、市場減少の国内に広告費を増やす戦略は経営資源の無駄使いで社内の仕訳や棚卸しの対象だ。
TBSの土曜10時の「情報7daysニュースキャスター」はフリージャーナリストはおろか自局の記者氏も出演しないニュース番組である。1週間のニュースVTRをおもしろおかしく編集したものを局アナ、元局アナ、教育学者、お笑いタレント、女優が感想を述べる。それでうまくいってしまう。TBSはBSで深掘りしたニュース情報番組を似たような時間帯で放送しているが、出演者は自局社員だ。テレ朝・朝日新聞系のBSにはこの間までフリージャーナリストが大勢出演していたがこの3月で打ちきりになった。
日本経済の失われた20年はフリージャーナリストの稼ぎも奪ったのだ。
年の差婚が広がる現実2012/07/08 [ニュースコメント]
15年後、結婚できなかった男達、女達の割合はどれくらいになっているだろう。彼等が65歳になり年金生活に入る2020年代後半に新たな社会問題が確実に出来しているはずだ。孤独死が恒常化する時代だ。
父と子の関係は一言ではいえない~先代猿之助と市川中車 [ニュースコメント]
市川中車といえば筆者の世代からいうと八代目。「大忠臣蔵」で吉良上野介を演じた老優なのだが、懐かしい名前を今年聞き、しかも香川照之が襲名したというニュースを知ったとき、歌舞伎の世界にある「業」というものを感じざるを得なかった。父と子の相剋を描いた演目が多いと思うのだが、猿之助と中車の半世紀近い歴史はそれに匹敵するものだ。
香川にとって父猿之助は強大な、そして自分を否定し続ける存在で有り続けた。母と自分を捨てた男。物心ついたときからそ男は斯界の天才とされ、戦後の新作歌舞伎を牽引した。少年時代の香川の猿之助を見る視線と精神。想像しがたい複雑さと屈折が心に刻まれたに違いない。香川は東京大学を卒業すると俳優の道を選ぶ。母親の影響もあったのか。そうではなく父を越えるために役者の世界を選んだと筆者は思う。20年経ち香川は日本を代表する役者となった。大河で秀吉役を演じる役者は将来を嘱望された才能が担うという定説がある(最近はそうでもないが)香川はその役を射止め、さらに「龍馬伝」や「坂の上の雲」の演技は多くの視聴者をうならせた。香川には越えなければならない壁があった。いうまでもなく父猿之助である。役者業と平行して香川は母から父を奪った藤間紫と交流を持ち、猿之助との関係修復に動く。現代の家族関係で子どもの方から離縁した父に関係を修復を試みるのは稀ではないのか。この行動こそ香川の人間性の深層とつながっているように思う。だが父は「親でもなければ子でもない」と歌舞伎さながらの口上で拒否。この猿之助の対応が筆者には素晴らしく、そして切ないのである。勇気を出して「澤瀉屋!」と小声で叫んだかも知れない。そして猿之助は脳梗塞で倒れる。芸の精進をあきらめねばならぬ危機。
父と子のパワーバランスの崩れを香川が逃すはずがなかった。すでに親交を結んでいた従兄弟の亀治郎と組んだ企てが歌舞伎界への参入。事態は御覧の通り。父猿之助は子に屈し、孫を團子を膝の上に置いた。香川の攻めに白旗を掲げた猿之助は役者として復帰という目標を立てた。そして先日舞台には二代目市川猿翁の凛と経つ姿があった。黒子で出演する中車がテレビカメラに映された。芝居とはいえ、いや芝居と現実がないまぜになった劇中劇。猿之助の眼は子との闘いに敗れながらも再び役者として再起を果たした男の凄みがあった。
香川の歌舞伎入り。精神医学的には「子の父殺し」かもしれない。だがそんな例えがどうでもよくなるほど歌舞伎の世界に流れる「業」を目の当たりにした思いだ。猿翁の復活という果実も得た。香川はすでに四十代。梨園ではどこまでやれるかわからない。役者としての思いは息子市川團子が引き継ぐことになろう。香川にとって梨園で枢要な地位を得るのはもはや意味がないと思う。父を越えることが彼のリゾンデートルであったの間違いないが、彼のこれまでの生き方は父をすでに越えていると思う。猿翁と中車。親子の相剋を越えた二人の人生に拍手を送りたい。
1998年問題 [ニュースコメント]
ともかく98年問題。みなさんの脳裏に少しとどめて欲しい。
なぜからどうへ~生きることの意味~2012/05/21 [ニュースコメント]
先週18日のBSプライムニュースは恐山菩提寺院代の南直哉氏が出演、現代人が抱える「生と死」の問題について応えていた。筆者は死後の世界にや神頼みといったものについては深く考えないようにしている。神社仏閣に行っても自分に関する頼み事はしない。かといって精神世界を否定しているわけではない。
南氏の率直な物言いは禅僧がある意味持つスタイルである。時にシニカルだ。彼が生きることの意味を問う現代の特に若者に対してと思われる発したことばになるほどと思うものがあった「なぜ生きるかではなくどう生きるか」を考える。おそらくは彼自身の経験に基づく考えだと思う。「自分の居場所探し」を行い「人はなぜ生きるのか」。これを自問することによって人生を閉塞に追いやる若者が多い。かつてこうしたことを考えるのは社会の中でも特定の人々だったに違いない。大方の人はそんなことを突っこんで考えることもなく、平和に、そして立派に生きていた。なぜ生きるのか。筆者はすでに答えがある。「生かされてる」だけである。答えにはなっていない。だがそれで十分だ。どのように生きるかについては、これも実はめんどくさいなと思っている。
ようはうまい酒が飲めて飯が食えて、ある日突然死んでいく。そんなもんでいいと。まあ陳腐でしかないが。
パナソニックトソニーがテレビで提携2012/05/15 [ニュースコメント]
今日の日経の一面はソニーとパナソニックが有機ELのテレビ事業の量産技術を提携して開発するというものだ。韓国勢に対抗して共同生産も視野にということらしい。世界で覇を争ってきた二大メーカーだが、コモデティ化したテレビ製造産業では通貨安の韓国勢にシェアを奪われるばかり。両社には薄型テレビで技術と技術者流失という苦い経験も共有する。だが ビッグ2はこれまでビデオレコーダーを含め幾多の製品分野でしのぎを削ってきた関係。うまくいくか疑問を投げかける声も多い。成功した事例がこうした場合ほとんどないからだ。エルピーダがいい例だ。
筆者はパナソニックとソニーにとどまらずシャープを含めた連合軍を作ればいいと思う。『ジャパン テレビジョン』を作るのだ。失敗したらテレビをあきらめる。日本のテレビ製造はそこまで追い詰められているはずだ。さらには国内生産をやめる。アメリカで生産する。企業のメンツ、国内生産にこだわりを捨てた戦略がテレビ製造再生には必要だ。
電力不足の程度、いったいどっち?報道ステーションSUNDAY5月6日 [ニュースコメント]
この夏に予想される関西の電力不足。報道ステーションSUNDAYは関西電力の出している予測数値にあまりにも過度な数字であると否定的に取りあげ、揚水発電や企業の節電努力、他者からの融通によって十分しのげるというものだった。
原発でよく指摘される「安全神話」。安全が一人歩きし、安全という「言霊信仰」さえ作り出した。そこに襲った「千年に一度」の大地震。電力会社の地震・津波の程度の想定が甘すぎると批判された。一方で今回電力会社の想定した数値は過度に厳しすぎるとの批判。再稼働批判と電力供給の社会的責任を要求されるのと同様、ダブルバインドの情況に電力会社は追い込まれている。ともかく報道ステーションSUNDAYはこの夏の電力不足は心配ないという立ち位置だということは理解した。
今週筆者は仕事で香港を訪ねた。中国人は夜景をきらびやかにすることで富と権勢を誇る。東京の暗い夜景と対照的だ。街を歩く人々は豊かさを楽しんでいるかのように思えた。東京の山手線の乗客は一葉に暗かった。電力飢饉列島日本。
北朝鮮ミサイル発射失敗の意味するもの2012/04/13北朝鮮ミサイル発射失敗の意味するもの2012/04/13 [ニュースコメント]
北朝鮮のミサイル発射が失敗した。9時14分時点で情報が集積している最中だが、韓国近海に落下した模様である。韓国軍が落下物を回収しているとのことだが、事実上の失敗とみて間違いないだろう。知りたいのは原因だ。軌道をそれ韓国領土に墜落する恐れがあり、自爆させたという推測も成り立つ。発射が失敗に終わった北の今後の行動も気になる。ミサイル発射とセットの核実験を近々に実行するか否か。さらには今回、海外マスコミを呼び込んで、しかも金正恩の襲名披露ともいえる国の行事の中での失敗。北はどう説明するのか。
ひるがえって日本。7時40分前後に発射してメディアが報じ始めたのは8時前後。この期間Jアラートは作動しなかった。発射後領土内を通過するまで10分。Jアラートは7時40分から50分の間に作動すべきだがそれがなかった。福島同様、情報の国民への伝え方がこの政府は未熟といえる。福島での政府の危機対応への教訓が今回いかされなかったのは批判されるべきだろう。 藤村官房長官は8時35分からの記者会見で「日本への影響はない」と述べた。今回の日本の政府、自衛隊の対応は今後のためにもしっかりとした検証が必要だろう。
低調なロンドンオリンピックブームにあるもの2012/04/07 [ニュースコメント]
ロンドンオリンピックまで4ヶ月を切ったがなぜか盛り上がらない。なぜだかお解りの方いるだろうか。それはテレビのCMの低調さなのだ。この時期なら家電メーカーはこぞってオリンピック用のテレビ受像器のCMを流し、視聴者は消費マインドとオリンピックの日本選手の活躍の期待をあげていったものだ。 ところがどうだろうテレビ自体のCMが今回は消えているのである。理由は家電業界の経営危機だ。本来牽引すべきパナソニックとソニー、シャープが数千億の赤字を出して、会社再建に追われているのである。その赤字の最大要因がテレビの低価格化競争の敗退なのだ。これには民放や広告代理店も深刻に受け止めているだろう。最もこれは予想されたことかもしれないが。ともかくオリンピックにも日本の家電業崩壊の影響が表れているのは事実だ。
冷房切るな、テレビを切ってラジオをつけよう2012/03/27 [ニュースコメント]
この3月、試しに朝、会社に行く前はテレビをやめテレビを付けるようにしている。NHK第一だがこれが朝食と出勤準備の自分にはすこぶるいいのだ。休日もラジオを聴きながらネットサーフィンや書き物に集中できる。ラジオ深夜便はブックレビュー在り、懐メロコーナー在り、キーパーソンのインタビューありと実によく編成されている。テレビからネットに軸足を移した者にはラジオの良さを再認識するのではないだろうか。
「平成の油断」電力統制を想定せよ2012/3/24 [ニュースコメント]
死語としての「自分の居場所探し」2012年3月22日 [ニュースコメント]
4373億円の赤字~貿易収支赤字の持つ意味~ [ニュースコメント]
つじつま合わせではどうしようもない~マニフェスト実行のかけこみ~ [ニュースコメント]
一方で今注目を浴びている大阪維新の会は市バスの運転手の賃金を4月から4割カットする意向だという。同様に橋下市長も月額130万円の棒給を4割カットして82万にするとのニュースが流れている。12月に当選して3ヶ月も経ってない。自ら身を切るスピードの早さ。民主党政権との差は歴然だ。
冒頭の議員定数と歳費減らす動きは総選挙が近いということもあるが、大阪維新のスピード感に影響を受けたというのもある。だがそれは「つじつま合わせ」というメッセージを国民に与えるにすぎないのではないか。
民主党政権の任期中は消費税を上げないとマニフェスト2009には明記されている。ただし今出そうとしている消費税関連法案では増税時期は現衆議員の任期の後である。これもまた「つじつま合わせ」といえる。「詐術」によって政権を奪取した批判を浴びている民主党。今行われている「つじつま合わせ」が見え透いた嘘と国民から揶揄されるようではどうしようもない。
日産50万円車の波紋~日本は車の生産拠点ではなくなった~ [ニュースコメント]
はやくに生産拠点の主軸を海外に移した日産が「50万円車」をインドネシアで生産、新興国戦略車として投入されることとなった(日経3月2日朝刊)。これまで国内生産の基盤にこだわってきたトヨタの戦略にも影響を与えそうだ。日産の取締役会は多国籍連合。ひとつの国家に格別なこだわりは薄いとされる。低価格車はVWや現代など攻勢をかけており、家電や半導体同様の企業の体力勝負の価格競争になった場合、コストの高い日本で生産することは許されない事態が出来するだろう。日本は車の生産拠点ではなくなったのである。自動車産業は裾野の広い業界。生産拠点が移動した場合に日本の雇用にどのような影響が現れるのか。経産省と厚労相にその覚悟はあるのか?もちろん政府のトップにもだ。
北朝鮮のウラン濃縮停止~米朝合意の実効性はあるのか2012/0301~ [ニュースコメント]
- アメリカ政府は29日、北朝鮮がウラン濃縮活動の停止を含む核関連活動の停止で合意したと発表した。IAEAの査察も北は受け入れるとのことである。しかし実効性があるとは思えない。発表の内容にも米と北でニュアンスも違う。米は「核関連の活動停止」であるが北は「臨時中止」という表現であり、いつでも再開はできるという立ち位置である。核保有国としての立場を保持する姿勢に揺るぎはない。裏で活動を進めている可能性のほうが過去の経緯から考えて高いだろう。問題はなぜ今アメリカと北が合意を結んだかということだ。北は金正恩体制の強化だろうが、アメリカは何だろうか?外交防衛政策で極東やASEANといった東アジアにパワーシフトを変えつつあるアメリカの戦略の中で考えるべきだろう。それを見抜けば日本の対応も決まる。おそらくはホルムズ海峡の緊張だろう。米中の妥協の結果が今回の米朝合意だ。だが北はそれを見越して次の打つ手を考えているだろう。イランと北は共同歩調を取っている。アメリカは両面作戦を採らざるを得ない情況に追い込まれるはずだ。
被災者の立場からみた東電国有化の是非 [ニュースコメント]
国と東電のヘゲモニーを巡る争いが続いている。政府は6月の東電株主総会を前に取締役17人をすべて退任させる方向で調整に入った。1兆円規模の公的資金を投入するには経営責任を明確化させるのが必要だからという。その後に発送電分離など東電側が拒絶を示している施策の受け入れを行わせるための布石と思って間違いない。「実質的国有化」を狙う政府、それを拒む東電。多くのメディアはこうした図式で論じている。東電国有化の是とするか非とするか。ここで在る見方をしてみよう。福島原発事故の被災者の立場で国有化を考えたらどうかである。おそらくほとんどの被災者が国有化を望むのではないか。理由は補償と除染である。国が責任を持って補償と除染を行うためには国有化、それも完全に国有化が被災者の望みだろう。「補償の窓口は復興庁とし、税金によって補償を行って欲しい。」おそらくそういう思いなのではないか。問題は数十兆にものぼるとも指摘がある巨額の補償、除染、さらには原子炉解体の費用だ。今行ってる経産省の「実質国有化プラン」は都合のいいところは国有化の論理を押し通し、逆に悪いところは東電に押しつける。そういう本音が見えてくる。だが国有化のレールを一端敷いてしまえば結局は負債を国に求めざるを得ない流れになると思う。「発送分離と新エネルギー政策で新たな主導権を握りたい」そういう省益の思惑のみで東電と鞘の当てあいをしてるのだとしたらちょっと待てよといいたい。
金融バブルの始まりか、それとも次なる試煉の前の「凪」か?株高・円安の動き [ニュースコメント]
を読むとあながち妄想とも思えなくなる。リーマンショックの際に大もうけした投資家は数百人の単位で存在したのだという。2月に国際経済で話題になった日本の貿易収支赤字と家電業界総崩れのニュースがマーケットに作用しているように思えるのだ。
日本はどうすればいいのか。原田はイノベーションを進めるしかないという。遠道ではあるがマネーゲームではない価値を生み出す王道はイノベーションだということだろう。それも中韓が簡単にキャッチアップやベンチマークできぬ画期的なイノベーションが今の日本に必要だ。この20年の情況は日本が資本を投入して開発した技術があっという間に流用され人件費の安さと汎用的な製品の大量生産で実利を奪われていった過程に学ぼう。「もの作りニッポン」は政府の無策が原因で崩壊に向かっている残り時間は短い。
メード イン アメリカ アゲイン [ニュースコメント]
どこにある?民主党のマニフェスト2011 [ニュースコメント]
民主党のホームページにある不連続があることをご存じだろうか。それはこの党の政権公約であるマニフェストである。ホームページの政策をクリックしてみよう。そこには2つのマニフェストが掲げられている。Manifesto2009とManifesto2010だ。その表紙には当時の総理大臣鳩山由紀夫氏と菅直人氏の自信に満ちた顔が飾られている。ところが今現在の総理、野田佳彦氏のManifesto2011が欠落しているのである。これが象徴するところのものは明らかだろう。党内をとりまとめるグリップ力がすでにないのである。このまま総選挙になれば党を挙げてのマニフェストは作れるどころか、解散に打って出たと同時に党が分裂する可能性すらある。ホームページには民主党がいかに実績をあげているかという記事がこれでもかこれでもかと飾られている。肝腎のマニフェストを前面に出せぬようでは画竜点睛を欠くというべきだ。 治める力のなさがホームページにさへも如実に示されているといえる。出せぬ理由はいくらも言えるだろう。9月に組閣したばかりで時間が足りなかった。震災対応に追われていた。税と社会保障の一体改革の取りまとめに時間を費やすことに優先を置いたなど。本音は野田政権の向かうベクトルがそれまでの画餅のマニフェストとは全く異なるものになり、これでは党内をとりまとめることは不可能。メディアの激しい批判を招来してしまうからというものだろう。マニフェストを高く掲げて政権を奪い取った民主党。総選挙は年内、6月とも9月もささやかれている。この党はその時マニフェスト2012を作れるのだろうか。
がれき処理5パーセントの事実 [ニュースコメント]
貿易赤字と原発再稼働 [ニュースコメント]
コンプライアンスがイノベーションを阻害している [ニュースコメント]
コンプライアンス不況という言葉がある。姉歯事件で建築基準法が改正され建築確認の審査が厳正となったあおりで住宅建設業界が不況となったあたりから広まった言葉だ。経営者が萎縮し、あらゆる事業にコンプライアンス徹底を通知する。企業は「鉄板」と呼ばれる確実性のある市場と方法に逃避。総務セクションが肥大化し、何をやるにしてもリクス管理が叫ばれ、結果イノベーションと営業セクションがなおざりにされ経済は衰退する。ItuneとIpodという音楽販売システムはSONYの凋落を出来させたが、ソニーの内部ではこうしたシステムは企画として上がっていたはずだ。できなかったのは著作権法との整合性で躊躇ないしは企画が却下されたのではと推測する。SONYのイノベーションを知悉したカテゴリー・キラーSteve Jobsによって先を越されてしまった。推測に推測を重ねるのも何だが、こうしたことはSONYに限らず様々な業界で起きているのではないか。
オバマの3つの政策 税制改革、通貨安策、新エネルギー [ニュースコメント]
オバマ大統領が法人税改革に本腰を入れだした。世界的な税率引き下げ競争に参加して製造業の法人税率を25パーセント以下にし、製造業の生産拠点をアメリカに戻し、雇用を取り戻す狙いがある。これだけではく通貨政策としてドルを安くして輸出品の価格競争力を上げる。一方でシェールガスの生産の本格化とコンパクトな原発を建設は原油の価格高騰に備える戦略だ。新重商主義に世界が変わりつつあることを視野に入れた明確な政策だといえる。日本はこの逆の政策をとり続けているといっていい。法人税率は世界一高く、記録的な円高に無策。全原発停止で電力供給不安と料金値上げの動き加速。にホルムズ海峡封鎖という事態を前にその備は外相の「心配ない」というアナウンスのみ。記録的な原油とガスの輸入の積み重なりにより貿易赤字国家への転落。アメリカとは対照的である。 国内企業がどんどん日本から出て行く。外資も同様だ。富も流出。年金も健保も富の蓄えがあってこそ。財政の傾きをさらなる消費税アップで補う負の連鎖。どうしてこんなふうになってしまうのか。治める力が決定的に不足している。
ギリシャ危機緊急処方にみる日本デフォルトの対応 [ニュースコメント]
以上である。このうち①はIMFがいくらつぎ込んでも日本の1000兆円の債務には焼け石の水であり、EUのような存在は日本は持っていない。②は日銀がこうならないがために国債購入に慎重だったわけで、また各国中銀の日本国債保有は微々たるもの。結局③から⑤を日本は自助努力とIMFの厳しい監視の下で再建に「努力」しなければならない。支援はおそらくどこからもないだろう。あるとしたら中国だが、支援の代わりに煮え湯のような条件を提示するだろう。
今現在マーケットは超円高から逆へ針が動いている。株価も回復している。何かの前の凪でないことを祈りたい。
「貿易赤字は一時的」との内閣府リポートは信用できるのか [ニュースコメント]
勉強しない学力中位層~高校生の危機意識のなさ~ [ニュースコメント]
高校の最大の問題は学力中位層が勉強しなくなったこと。日経2月20日で国立大財務センター教授・金子元久氏が指摘している。教育関係者と話すとある傾向がある。大学は高校の高校は中学の中学は小学の小学は幼保の教育に問題があり、自分たちはその問題を放り投げられていると。その最終引き受け手が大学であり、金子氏の指摘は大学生の学力低下の原因を高校に求めている、ともいえなくもない。しかし金子の指摘はそれだけではすまない要因を抱えている。
金子氏はいう。「次の時代の人材の育て方を巡る議論が盛んだが、育てるべき人材像の具体的なイメージは拡散してほとんどない。しかも、ないことに多くの人は気づいてない」「かつての製造業のような、日本的な組織の中で頑張れば一生続けられる就業機会が減っている。1990年代から大学進学は急上昇したが、これは製造業の高校生採用が減り始めた時期と重なる。生活水準は高くなったが、基礎的は就職先は減る一方だ。『昔なら高校や大学に進学しない層だから勉強しなくて当然だ』と言われたら、そうかもしれないが進学せざるを得なくなった人たちに、どうすれば意味ある教育をができるかが問われている」「昔は上級学校になるほど進学者が減ったが今は違う。何をしたいかわからない学生が大学に進み就職も怪しくなってきている。大学は高校以下を責めるが、これは小学校から大学までを一貫して考えるべき問題で、一つの所だけで考えてだめだ。高校がブラックボックスのままでは、そうしたの縦関係も見えない」
製造拠点が海外に移り、受験戦争を勝ち抜いたアジアの勤勉な学生が日本企業に大挙して就職活動を行う。これが日本の今であり、さらにはこれからである。理想の教育を掲げても実態は職につけない若者を社会に送り出している今の教育の実情。教育の深い闇。
あきらめと覚悟 [ニュースコメント]
破滅衝動~滅びへと向かうエネルギー~ [ニュースコメント]
政治も経済も今この国は閉塞の最中にある。例えばエネルギー問題。地元の納得が得られない原発再稼働。一方で化石燃料の膨大な輸入による貿易赤字。さらに電力供給の不安定さを忌避して海外への生産拠点を移す企業。負の連鎖が日本から富を奪い、国の財政を揺るがし国民は貧しさに直面することとなる。政治の惨状はいうまでもない。こうした負の連鎖を動かす何ものかのエネルギー。この国をあるときには覆い尽くしたカタストロフィー、あるいは暗緑の深い淵に誘った何か。政治経済にまたがるその何を今、見つめる必要があるのでないだろうか。凡庸なるものは歴史をひもとく。例えば日本を敗戦へと導いた昭和初期、あるいは帝国主義の波が押し寄せた幕末。戦国、さらには応仁の乱、源平の戦いにまで遡るのもいい。かくなる小生も凡庸なる才の持ち主。その凡庸なる思考で、閉塞の前の直近がいかなる時代であったのか時代を抽出して並べてみる。昭和の前の大正、幕末の前の化政。戦国の前、応仁の前、源平の前はレンジが切り辛いので省く。大正と化政の時代。大正デモクラシーは日本に広がり、文化文政は江戸文化の爛熟とされる。文化の花咲いた時代。それが両者に共通しているのではないか。その文化の花を咲かせたのは富と平和。あるものは酔いしれ、あるものは安逸に時を過ごしたののかもしれぬ。Japan s No.1。内向き思考で外には日本のやり方が世界に通ずる蓋然性を持つ、そんな思いを持つ者が多かったと思うのだ。それがある程度に達したとき、この国の人々は破滅に向かう何ものかにとりつかれてしまうのではないだろうか。日本の自殺願望。こうした属性が仮にあるとしたら、何がそうさせるのだろうか。四方を海に囲まれ、言語も他と違う、一国にして一国の文明をを持つ(ハンチントンの指摘した)風土の病いなのか。
この国にまだ賢者がいるとしたら、国の自殺へと向かう衝動を鎮める処方をどう求めるのか。
文藝春秋三月号にグループ1984の論文が37年ぶりに再掲された。タイトルは『日本の自殺』アジェンダは放置されたまま37年の時間が失われたのだ。