アベノミクスの死角もしくは終焉 2013年12月2日 [経済]
電機大手、業績底入れ~日経2013年11月1日~ [経済]
日経に依ればリーマン以来経営困難に陥っていた電機大手の業績がようやく底入れしてきたとのこと。それでもリーマン前の七割とか。超円高、それを利用しての韓国の攻勢、震災ショックなどのが続きシャープを初めとするかつての日本経済の牽引者が瀬戸際まで追い詰められた感があった。しかしまだこの底入れはリストラ効果。不採算部門を切り離したことによるものがほとんど。今後は得意分野や採算が取れる分野をどう伸ばしていくかだ。企業それぞれの「成長戦略」を実行に移すことが必要だ。口で言うのは簡単だが実行は難しい。
3Dプリンターの衝擊 2013年10月21日 [経済]
これは別な意味で言えば、金型産業に関係のなかった企業や個人が新に事業参入、もしくはこの技術を使って市場開拓ができるということだ。こうしたビジネス空間を逆にチャンスと思わねば生き残れない時代。日本はどうなのか?日本は小型化、ポータブル化である意味対応することが得意である。そこに活路を作れるか?日本をベンチマークすることで日本のシェアを奪ってきた中国と韓国はどうするのか?いろいろなことを考えさせられた。
「半沢直樹はまだマシである」日経2013年10月8日朝刊 [経済]
消費増税8%正式表明 2013年10月2日 [経済]
昨日安倍総理は会見で正式に消費増税8%を4月から行うと発表した。アベノミクスが半年しか経過していない状況で早すぎると筆者は反対だった。economic indicator(経済指標)、手続き論、法律論などから判断したのか、とにかく増率を発表した総理。市場は織り込み済みである。メディアは例によって食費などの物価への跳ね返り、生活弱者への対応の遅れなど、批判を開始している。最もアンチ安倍のメディアは増率先延ばしでも財政不安、市場からの信認の低下などで批判していたはずで、こういうのは無視していいだろう。心配なのは増率前の駆け込み消費と増税後の冷え込みだ。この大浪を日本経済はどう乗り越えられるのか。メディアは橋本政権時の増率で起きた冷え込みを掘り返した記事やVTRを持ってくるに違いない。唯あの時と決定的に違うのは当時は不良債権処理などの金融不安が世の中を覆い尽くしていた時期でもある。
ただこのことで明らかに増率に伴う副作用は出てくる。もう一方で必要なのは増率のメリットをどう生かすかだ。景気対策に使うのは正しい。ただし公共事業オンリーではだめだ、成長が見込める分野にどう金を回せるかだ。まあこういうのは誰でも考えつく。安倍氏の力量が試されるときだ。
アベノミクスと農業 2013年10月1日 [経済]
中国経済との付き合い方 2013年9月23日 [経済]
反日デモから1年、日中経済の今 2013年9月20日 [経済]
尖閣国有化手続きをきっかけに起きた去年の反日デモ。1年が経ち、この間、そしてこれからの経済を考える特集や番組が今週いくつかあった。BSプライムニュースでも中国への投資・進出について議論していた。対中投資は新規は減少し、現地の合弁企業の中で再投資するといったやり方が広まっている。万が一中国が日系企業の資産凍結を実施した際の損害を最小限に抑えるためと言われている。
GDP成長率7.8%。これを信じてはならないと中国経済の専門家、津上俊哉氏。電力消費量などの数字、地方政府の報告した数字を積み上げるととんでもないGDPの数字が出るのだと。これは筆者も指摘してきたこと。
李克強氏はこれからの中国経済は2つの必要なものがあるという。①経済構造改革②市場開放の2つである。
民間投資と海外からの投資をいかに呼びこむかということだ。これは朱鎔基時代の民営会社の企業起業促進、WTO加盟を進めた政策と似たところがある。リコノミクスは外需から内需へ、内需の中でも投資から消費へシフトへというものであるが、これは日本のこの20年の進んだ道と重なる。
中央財政の健全性は主要国で稀有な存在といわれる中国。だがその健全性は地方政府の債務の隠蔽によって成り立っているとの指摘もある。外需から内需、投資から消費へというスローガンは良い。だが日本企業がはたしてそこで自由な企業活動ができるかどうは疑問だ。
オリンピックの経済効果 2013年9月16日 [経済]
2020年の東京オリンピックがもたらす経済効果はどのようなものなのだろうか、NHKのラジオ第一の「ビジネス展望」で山田久氏が三つの期間に分けて述べている。①準備期②開催期③開催後の三つである。準備期は遺産ゾーンのリニューアル、臨海ゾーンの開発、首都高速、成田〜羽田間などの社会・交通インフラ、ホテル建設、観光客の増加といった経済効果が想定される。開催期は観光客の来日、飲食関連、グッズ販売など。一日最高で92万人の観客が訪れるといわれており、開催期間を通して1000万人以上の観客が訪れるという、ロンドンでは90万人弱の外国人観光客が訪れたが日本もほぼ同じ数字がでるのではないか。さて開催後だがマイナス面も考慮する必要がある。反動減と債務だ。公共インフレで財政規律が守られるのかどうか。民間の資金をどう使うか。2020年の65歳以降の人口は25%を超える。2020年以降の新しい都市のあり方を考えながらの都市開発が必要とされる。経済も当然それを視野に入れるべきだ。
インドネシアの貿易赤字 2013年9月6日 [経済]
成長戦略のキーパーソン坂根正弘氏 2013年8月27日 [経済]
先週土曜日に放送された「激論クロスファイア」はコマツの前会長の坂根正宏氏だった。経団連の論客であり、コマツを社長就任1年目でV字回復させた経営手腕。政府の産業競争力会議の主要メンバーである。太い声に明晰な物言い。会長を退いたあとは講演に引っ張りだこだという。コマツのV字回復の大きな理由は2000年前後の時期にすべての重機チップをつけ、稼働状況を把握できるようにしたことである。今では常識とされるが、それをコストを度外視して実行した。これと同時に20,000人居た従業員を18,500人にリストラ、関連会社も整理した。彼が評価されるのは失った雇用を今さらに2,000人増やし、22,000人体制としていることである。成長があればこそできたことだ。コマツ発祥の地である石川県小松市の小松駅そばの工場は研修施設として本社機能の一部分を持たせている。農業にも企業経営で培ったノウハウを提供、小松市の農家を支援しているとのこと。いたずらに自信をなくし、自分たちの長所を見失っている日本人と日本経済。彼のような存在が舵を取って言って欲しい。
自動車産業の未来 2013年8月26日 [経済]
自動車産業の友人から時々悩みを聞くときがある。「自動車業界が家電のようになったら最悪だ」「自動車業界がパソコン業界ならないように祈ってる」自動車がコモディティ化し、組立工場がヘゲモニーを握る事態を想像しているわけであるが、ガソリンとエンジンという高度で製造に技術を要する部品から電池とモーターで動く自動車が主流になった時、家電やパソコン業界で起きた事態が自動車業界でも同様に起きるというのだ。自動車産業はある程度の資本と工場と従業員、そして顧客を満足させるモーターテクノロジーの集積がないと経営不可能と言われてきた。韓国が自動車産業を興すには三菱自動車からのGDIエンジンを供給が必要だった。トヨタは1950年代にすでにアメリカに輸出していたが全く相手にされなかった。だがテクノロジーの進歩は時としてパラダイムを容赦なく変える。「遠くない将来ナイジェリアが自動車産業の中心になる」といっても冗談だと一笑できない波が起きている。その裾野の広さを利用し、これまで自動車産業の繁栄で豊かさと社会保障を実現した日本。ひとつの産業の興亡が日本社会のこれからを左右する。自動車産業が手をこまねいているわけではない。そのひとつに住宅開発や都市開発と連携した自動車開発がなされようとしている。スマートハウス、スマートシティだ。またロボットに介護、付加価値の高い医療ロボットといった自動車からロボットに製造コンセプトを変える考え方。運送・宅配専用自動車の自動車の開発、新たなコンセプトタクシーカーの開発など。BtoB的発想の車開発など。(まあ筆者の思いつきの書き込んだが)。自動車産業は常に日本のもの作り産業のトップランナーであってほしい。
消費増税の環境 2013年8月19日 [経済]
今週から来週にかけての政治の焦点は安倍総理の消費税率を引き上げるかどうかの判断である。土日の情報番組多くは消費増税について議論していた。GDPが3期プラスとなり年率にして2.6%増という経済指標が発表され、重要な判断材料とされている。景気回復は本物なのか?今上げるべきか否か?増率実施派には前回3%から5%に引き上げた際の景気停滞という教訓があり、また増率を見送った場合の国際マーケットに与える影響、国債の償還利率が上がってしまうという危惧などが考えられる。景気は着実に回復傾向にあり、日本経済は増率には十分耐えられるというのである。一方増税見送り派は景気は回復基調だがまだ本物とはいえない。給料アップ、完全失業率などまだいろんな情報が揃わない限り、見送るべきだと。アベノミクスはデフレ脱却の最後のチャンス、慎重にも慎重を期して消費増税にあたりたい、というのである。筆者は当初アベノミクスによって賃金が上がるとされた2年から3年といったスパンに倣い、増率にあと2年、時限を切って見送りすべきと考えている。たった1年で15年続いたデフレを脱することはあり得ない、楽観的すぎると思うのである。
この夏休み、安倍総理は河口湖で夏休みを取ったという。豪雨被害にの時期に夏休みとは何事かという幼稚な民主の批判を蹴っ飛ばし、恐らくは秋以降の政権運営、外交案件について思索を重ねているに違いない。その間増率実施派、見送り派とどちらのグループと連絡を取り合ったか。それを分析することで、増率するかどうかの答えが見えてくるのではないか。
終わったね、キャラクタービジネス 2013年8月14日 [経済]
フジテレビの夕方のニュース情報番組のお天気コーナーは全国各地のゆるキャラがいっしょになって地方をPRしながら気象情報を伝える。「ゆるキャラブーム」とされる現象。無数のキャラクターが作られ、テレビや新聞、ネットを通じて露出する。Bグルメ同様、「ゆるキャラグランプリ」なるものが開催され人気ランキングを競う。こうした流れはキャラクターという文化は日本全国に普及することになるのだが、一方でこれまでビジネスとして成り立っていたキャラクター業界の存在を危うくしかねない。無数のキャラクターが規模の大小こそあれ、グッズ展開を行う。そこにはあ必ずパイの喰い合いが生ずる。広告業界がインターネットの参入を受けてビジネスとして立ちいかなくなった状況、コンビニが無数に町にでき、それぞれの店の売上がカツカツになってしまう状況と同じになってしまうのである。ひとつの成功属性を見つければ猫も杓子もそれにすがりつく。荒野に野いちごはあっても取り入れが終わってしまった果物畑には甘い果実は残っていないのである。
日本経済への中国の影響力 2013年8月12日 [経済]
日経が中国の日本経済への影響力は高くないとの報じている。(8月10日)。アベノミクス始動以来日本の株価は7000円台から14000円台に高騰したが上海は2000元代に低迷。アメリカの金融政策には影響されるものの中国からの連動は限定的だ。理由は2つあるという。1つは日本は内需大国であり、貿易立国ではもはやないということ。2つ目は日本における中国シェアはそれほど高くないこと。これまで日本は中国経済を過大視しすぎた。中国からは「中国を失えば日本経済に深刻な影響がある」との半ば恫喝にもとれる声もあるが、むしろこれまでのアメリカやこれからの東南アジアが大丈夫であれば十分対応できるということかもしれない。もちろんこれは中国を過小評価しているわけではない。シャドーバンキングが今だ不透明であり、外資や中国国内の資産がどんどん中国から逃げている。日本企業はむしろこのリスクに備えるべきだろう。
2つの株価指数が示す中国経済の地殻変動 日経 2013年8月10日 [経済]
中国経済の今 2013年8月5日 [経済]
世界経済に与える影響も懸念される。市場が疑念の目で中国経済を凝視している。
米、量的緩和を維持 FOMC「必要性を再確認」 (日経) [経済]
FOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)が量的緩和策を維持することを決めた。「再認識する」という微妙な表現だが、声明では証券購入額の「増額、減額とも準備をしている」と中立の姿勢を強調し、今後の雇用統計などで景気動向を見極めたうえで判断する構えを改めて示した。(日経)としており、今後の失業率など今後の景気動向によってどちらにも動くこというらしい。バーナンキ発言以降、新興国からマネーが逃げ出し始め、G20では中国などの国から異議が伝えられていた。日本経済にはどう響くのだろうか。今日の市場は利益確定で下げとなるか、または好感して上げとなるか。注目したい。
日本経済の7月 2013年7月26日 [経済]
一ヶ月前筆者は7月の株式市場は1万5000円を回復すると書いた。所詮は素人。新聞テレビ、さらには自分の職場の会社の経営状況などから判断したのであるが、それでも世界経済の構造変化を感じてのことである。アメリカの巨大金融資本が新興国からマネーを引き上げていること。銀証分離の動きも有り、アメリカ金融が今後積極的な投資を新興国行うかはわからない。欧州では相変わらず財政不安を抱える加盟国、金融不安、そして景気低迷。EU自体の結束にも緩みが見えている。そして中国はバブル崩壊の懸念と影の銀行の存在。資金が香港経由で逃げ出しており、ここに今積極的な投資をすることをためらう企業が続出している。さらに再びアメリカ。バーナンキの金融緩和の出口戦略への言及。次期FRB議長は恐らく金融緩和策に否定的だろう。さて日本。冬から春は「金融相場」で株価は上がったが、4−6期の実体経済が急速に上向く結果が出てきており、これからは「業績相場」。こうした世界経済の動きをみれば日本にマネーが向かいつつあるのは自明だろう。まあ楽観的かもしれないが、マスコミの近視眼的な報道の疑っていれば上記の見方になるのは自然だ。
アベノミクス半年で給料があがると考える日本人 平成25年7月15日 [経済]
安倍政権が去年12月に日本経済を担って以来、株価はあがり、為替は円安に転じ自動車産業や家電産業に安堵感が広がった。しかしそれがすぐに給与に反映されるかというと、イギリスの友人に指摘されなくても疑問符が付く。コンビニ業界やトヨタのように協力的な企業もある。しかし20年以上にもわたるデフレを給与カットでしのいできた企業がそう簡単にマインドを反転できるわけがない。麻生財務相もアベノミクスが給与まで反映されるのは2年としている。半年で給与があがるなんて甘いのである。国民は甘い話が世の中に存在しないのは十分知っている。けしかけているのは超高給を得ているマスメディアである。
保険業界の潮流 2013年7月13日 [経済]
商店街のコンビニが潰れると代わりにオープンするのは薬の調剤センターと保険会社の乗り合い代理店。そんな風に思っていたが、最近はネット専業で保険を提供するネット保険が急速に伸長しているという。ターゲットは20代、30代の若い世代。子育て世代ともいえる。なぜこうしたネット保険が注目されるのかは2つの理由がある。ひとつは値段の安さ。もうひとつは値段の開示。保険業界はGNPという言葉に象徴される。「義理」「人情」「プレゼント」でセールスレディが勧誘を繰り返す。商品の説明も会社そばの喫茶店で簡単にすまされる。こうした業界の常識を打ち破ったネット保険の躍進ぶり。旧来の訪問保険も商品価格を下げるなど対抗している。低額化と価格の透明性。カテゴリーキラーの二大方針なわけであるが、これがまさか保険業界で起きうるとは。大方の予想を裏切った躍進ぶり。だが安い、わかりやすいだけでいいのか?次なるステップがあるはずだ。
バーナンキ発言と日本経済 平成25年7月12日 [経済]
その発言に世界経済が動くといわれるベン・バーナンキFRB議長。「「予見できる将来まで、米経済はかなり緩和的な金融政策が必要」という昨日の発言に日本の株式市場の動きは微妙だった。円はドルに対して2円以上下落し、98円だった一方で円は55円高と反発したのである。ここ数ヶ月は円高と株の下落はセットで動いており、昨日の東京株式市場は1万4千円割れとなっても、不思議ではなかった。この辺りの反応をよく精査することで夏から秋以降の株価の気配を予測できるのではないか。バーナンキ氏の思惑はいくつか考えられる。「出口戦略」の修正をはかり、過度な金融緩和縮小は行わないとの意思を市場に伝えたということ。アメリカ経済の景気回復があっての金融緩和縮小だということだ。日経の平成25年7月12日の記事によれば「緩和的な立場のメッセージが効き、米10年物国債利回りは日本時間11日午後の時間外取引で低下している。日本の債券相場にも金利低下圧力がかかり、景気回復に水を差しかねない金利上昇がひとまず止まった」とされる。昨日の急激な円高も円安・ドル高の大きな基調をかえることはないとの見方が日経株式の小反発となったのではないか。昨日の発言を受けて米株式市場も高騰しているとのニュース。今日の東京株式市場に関心が集まる。
カテゴリーキラーとしての「スマートテレビ」2013年7月7日 [経済]
大手広告主のCMを民放各局が放映を流さないのは極めて異例である。パナソニックが4月に販売を始めたスマートテレビ「スマートビエラ」のコマーシャルを民放が拒否している。理由はルール違反という。スマートビエラはスイッチをつけるとテレビ画面と同様にSNSやYouTube、ニコ動、商品販売サイトの画面が立ち上がる。テレビのプラットフォームはテレビ局の番組の画面が占拠する。これまでのテレビのあり方を変える商品の登場に民放各局はテレビ広告の影響が弱まるとして反対しているのだ。実際パナソニックのサイトでこのスマートビエラをみるとユーザーにはとても魅力のある商品だ。テレビの見方が確実にかわる。テレビというより「情報の窓」として進化している。恐らくこれが世界の標準となり、これからはアメリカで中国でタイやベトナム、ナイジェリアで人々が買い、そして楽しむテレビはこうしたスマートテレビになるだろう。民放各局が「既得権益」を盾にCMを規制するとしたら国内ユーザーの利益を阻害していることにほかならない。薬品のネット販売規制と同様の構造といえる。パナソニックやソニーが海外でスマートテレビを売り、国内では売れないという現実が出来しつつある。総務省はどのような判断を、成長戦略会議はどう考えるのだろうか。
影の銀行 日本の金融当局も警戒 米欧と連携、改革求める 2013年7月5日 [経済]
中国経済、高まるハードランディングの危機 〜FT紙〜2013年7月4日 [経済]
ファイナンシャルタイム紙が中国経済のハードランディングの危機について論じている。「踏み込んだアクセルをゆるめ、減速すれば現在のバブルはゆっくりとしぼむ」。こうした比喩をFT紙は一蹴し、中国経済を鉄道ではなくジャンボジェットに例える。つまり、スピードを落とせば飛行機は墜落するというのだ。半分のエンジンが故障した状態で着陸しようとしているのにそのエンジンを設計 しようとしている。日本の民主政権が「沈没する船のデッキをピカピカに磨こうとしている」と揶揄されたのと同じだ。中国経済の減速化はこれまで在庫圧縮、投資減少という行程を歩んできた。それが今からは収益悪化という現象が顕在化する。当然国民の間で不満がたまる。所得のさらなる再分配を進める必要がある。また巨額な赤字計上など誤謬なき社会主義経済の担い手たちがオフィシャルに実行できるのかどうか。日本は政治同様、中国との距離をいま一歩引いた状態でバブル退治に乗り出したこの国を観察する必要があるだろう。
バブル退治に本腰を入れた中国経済2013年7月3日 [経済]
7月に入り中国経済は資金需要(理財商品の償還期)が高まる6月末をクリアしたことで落ち着きをみせている。一次13%台をつけた短期指標金利は4%台で推移している。6月の短期指標金利の急上昇は中国人民銀行がその上昇を黙認したとからである。シャドーバンキングや地方政府の負債問題などが市場に広く中国リスクとして知れ渡り、中国バブルがいつ破れるかが関心の的になってきた。社会主義を標榜する国家のバブル崩壊。社会主義とバブル崩壊。なんだか論理矛盾だがそれが実在しているのが中国である。世界はこれまで幾多のバブルを経験してきたが、社会主義国家でのバブルは初めてだろう。一党独裁上意下達のスピーディーな対応が崩壊を食い止めるか、社会主義の矛盾がバブル退治の行く手を阻むのか。中国企業が相次いで社債の発行を延期し、過剰投資の見直しを図っている。これは政府首脳が景気を冷やしてもいいからバブルを克服せよと決定したからにほかならない。市場との微妙な駆け引きがこれから繰り返されることになろう。