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『日本の宿命』平成25年2月14日(木) [政治]

日本の宿命 (新潮新書)

日本の宿命 (新潮新書)

  • 作者: 佐伯 啓思
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/01/17
  • メディア: 新書
    TPP問題をどうとらえるかで保守は割れているという。つまるところはアメリカとどうむきあうかという、戦後保守の抱えてきたダブルバインド状況が今またこの問題で顕在化しているのである。賛成派は「自由の弧の展開型」として対中国への安全保障的な視点でこれを支持するという考え方であり、反対派はアメリカ従属型の日本の脱却の視点から許容できないとする。親米保守か反米脱米保守か。佐伯は頭山満は西郷隆盛の系譜であり、日本、中国、韓国三国が西欧に対して新たな東亜の軸を作るべしとの思想がそこにあったとする。結果的に中韓は華夷秩序にとらわれ動かず、日本のみがアメリカに屈する形となった。佐伯は八十年代に日本が再びその枠を脱する機会があったと考えてると筆者は思う。二十年ほど前に広松渉が大東亜共栄圏について論考を出したのを思い出す。21世紀になって「東アジア共同体」がEUの対抗軸として政治家が持ち出した。中国の台頭によって華夷秩序の中でそうした軸が作られようとするなら、保守はどう向き合うことになるのか。国学を再考すべきであり、中野剛志のように「新論」や本居宣長に立ち戻る必要があるだろう。そういう意味で「開国神話」批判は象徴的なのである。


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