青山繁晴氏福島原発取材の波紋

　青山繁晴独立総研社長の福島原発取材を政府が問題視しているらしい。細野豪志内閣補佐官は「不快感を示し、今後はそういうことがないようにしたい」と述べたという（読売新聞）。福島第一原発の最前線で陣頭指揮をとる吉田昌郎所長の取材、現場責任者が抱えている問題点を浮き彫りにしてもらったことはテレビを見る我々には歓迎すべきことだ。東電の産業医が作業員達の過酷な労働環境をテレビで報告したおかげで、現場が改善されたことを我々は知っている。今最も肝要なのは原発災害と直接向き合っている最前線をどうサポートするのか、現場が直面している課題をどう政府は対応するのかをチェックすることにある。政府と東電の東京での会見発表で事をすましているメディアは反省すべきだろう。青山氏は原子力委員会専門委員であることを利用したことは事実である。ビデオをみせるにあたりスタジオのカメラの前で「私はジャーナリストではありません」ともいった。それはある意味取材のレトリックだ。彼によって我々の知り得た情報の重さに比べることはできない。

　問題は政府がこのことを問題視していることだ。この副大臣は誰かの怒りを受け、その代弁者となって各方面に圧力をかけているのではないだろうか。その誰かとはこの政権の浮揚策と政局を常に留意している人物である。いずれこの副大臣の名はあきらかになるだろうから、そこから推察することも可能だ。