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バブル崩壊という僥倖~外交防衛からみたリスク回避~2012/04/06 [政治]

 日本の失われた20年の起点となった「バブル崩壊」。これまで「あの時うまく経済がソフトランディングできていれば、今の惨状は回避できたかも知れない」との論が大方の見方である。しかし外交防衛の見地からみると逆に「幸運だった」といえるかも知れない。

 プラザ合意以降、日本にマネーが集中し、日本企業がニューヨークのロックフェラービルを買うような社会現象まで起きた。空前のバブルである。しかしこれと同じ時期に国際政治で起きていた大きな出来事があった。米ソ冷戦構造の崩壊である。これまで自由主義陣営に対抗していたソビエト連邦の終焉。パックス オブ アメリカーナの時代の到来であり、これは日米安保同盟の存在理由を無化する可能性を意味していた。事実クリントン政権時代に日米安保を解消して多国間の協定に切り替えようとする意見がアメリカ側にあったように記憶する。安保解消どころではなく、更なる危険をあの時期筆者は感じていた。それはある映画にである。「ライジング サン」という作品を覚えているだろうか。90年代始めに公開され、アメリカでは日系社会が日本人に敵意と差別的な描き方があると抗議した。作品の中身は検索で調べてもらいたい。アメリカ政治と映画の関わり合い考えると、筆者はこの日本の描き方に危機感を持った。アメリカの映画はナショナリズムと、アメリカ的価値観の広宣という働きがあると考える。それは時として仮想敵国の存在を巧妙にストーリーに描き込む。バック トゥーザ フューチャーのリビア、ロッキーに登場した兵士のボクサーの祖国ソビエトなど。主人公の味方や理解者に同国人を入れるなど、バランスをとってはいるが、アメリカ映画がアメリカ人の敵愾心と団結力の向上の役割を果たしている(そういう映画がアメリカ映画にはある!)。あの頃「次なる敵は日本だ。我々アメリカは半世紀を経て再び日本と戦うのだ」という意識がアメリカに醸成される可能性があったと思う。
 だが日本経済のバブルの崩壊がアメリカの敵愾心を解く要因になったとしたら。。。90年代は世界のパワーバランスが激しく動いた時代だった。その流れの中で日米安保が解消され、日本が国際社会で孤立の道を歩み出したらどうだったのか。日露戦争後の日英同盟解消が日本の孤立と太平洋戦争のきっかけになったことをすでに我々は学んでいる。その教訓がバブルと冷戦構造崩壊後の日本で生かされたかは疑問だ。だとするとバブル崩壊は日本が21世紀を生き残るためのラッキーな出来事だったのではないのか。経済と国際政治。この二つに接続線を結ぶだけでいろいろ考えることができるのだ。


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