歴史カードという遠心分離器2013年4月29日 [政治]
靖国でまたしても日中韓にきしみが生じている。近隣が友好であるはずがない、と思えば納得できるのだが、いつものように中韓政府と自民に批判的な日本メディアの共鳴に筆者はうんざりしている。靖国問題が浮上したのは80年代。70年代は田中角栄氏も総理時代に4回参拝している。78年のA級戦犯合祀が契機なのか?それは後付だろう。
「日本はアベノミクスでようやく二十年のデフレを脱却しようとしている。ここで中韓との政治的緊張が高まることは好ましくない」日経新聞を開いてそう思われる人も多いのではないか。一方でここのところ急激に進んでいるのが日本の東南アジア投資である。製造の基盤を中国から東南アジアに移す動きだ。これまで日本は中韓資材を中国や韓国に主に輸出したり、人件費の安い中国に製造工場を置いていた。だが長く続く政治リスクはこの国に投資することの危うさを日本の経営者に植え付けようとしている。それは実はかなり進んでいてタイの洪水で日本の自動車工場の部品製造のかなりがタイで作られていることを吾々は知った。これから日本にとって中国は製造するところではなく売るところになる。一方韓国はどうか。「円安空襲」とメディアが書き立てる経済構造は日本の為替レートに韓国が弱いという事実を明白にした。二十年のデフレを脱却するためには欧米がやっているように貨幣の供給を増やし続けていかねばならない。その結果の円安は少なくとも3年は続く。中韓がいくら「近隣窮乏化」を言おうがG20で日本のアベノミクスは認められており、しかも6年前の為替レートの今は半分程度戻しただけでまだまだ円高なのである。
この時期歴史カードを振りかざす中韓と経済再生の道を歩む日本。両者の間の経済に遠心分離機がかかっていると思う。日中韓のFTAは不可能に近い。日本は東南アジアシフト、TPPシフトしていくことになる。中国市場を捨ててしまうことにもなるが長きにわたるこれからの政治リクスを考えれば仕方あるまい。日本に中国市場から撤退させるのは実はアメリカの狙いかもしれない。だとするならばアメリカに日本は相応の要求をすべきであり、そうしたカードを作るべきだ。
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