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アメリカの二度目の裏切りを想定せよ 2013年6月10日 [政治]

 一泊二日の米中首脳会談が終わった。合計8時間に渡って行われた会議では尖閣問題もかなりの時間が割かれたという。先週から今週にかけて中国研究者のコメントや著作、さらには日米外交関係の研究者の論考が注目を浴びた。遠藤誉氏のコメントと矢吹晋氏の著作「尖閣問題の核心」、そして日米外交の研究者春名幹男氏の文藝春秋七月号の寄稿である。遠藤氏はルーズベルトが蒋介石に尖閣を中国に譲ろうと提案したが蒋介石が断り、それを後に後悔したというものであり、春名氏はニクソンとキッシンジャー、ピーターソン補佐官の三者の間で尖閣を日本、台湾のいずれの領有とするのか議論が行われ、キッシンジャーの意見をニクソンが採用し、尖閣は沖縄返還とともに日本の施政権下となったということである。春名氏はその議論の内容が録音テープをニクソン図書館で発見した。
 話を元に戻そう。1971年7月15日ニクソンが訪中を発表した。日本政府にとって寝耳に水の出来事であり、日米の信頼関係は大きく揺らいだ。その後日本は田中角栄の訪中から日中の共同宣言へと極東外交のシフトチェンジを余儀なくされた。そのショックは今も語り継がれている。今回の米中首脳会談で尖閣に関して米中の間で密約が交わされる可能性はあるのだろうか?中国の主張は率直に言えば東太平洋の中国の支配権を認めよというものである。ここには領土領海法の遵守の精神は存在せず、軍事力という覇を持って太平洋の権益を二分しようというものであり、そこに世界第六位の領海面積を持つ日本はまったく考慮されていない。アメリカはここに来てTPPを含め中国を招き入れることで経済権益を確保しながら平和的台頭を認めるという方針に変わりつつある。密約の可能性はゼロとは言えない、むしろ密約あったことも想定したうえでの外交戦略を図らねばならない必要がある。親米保守は立場を失い、反米保守の存在が力を増す可能性がある。ここで変えてはいけないのが「価値観外交」である。自由と平等と法の支配を謳いあげてきたアメリカがどう転ぼうとしても日本は「価値観外交」を変えない。一方でロシアやインド、さらには中南米やアフリカとの共創・共栄を外交ドクトリンとして追求する。自由・平等・共創共栄・国際法の遵守。この原点に立ち戻ることだろう。そして国際社会にねり強く、強く発信することだ。

 


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