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地政学の時代 [政治]

 東アジアはすでに地政学の時代そのものといえる。特に朝鮮半島は南北の対峙とそれぞれが隣国の大国を巻き込んだパワーゲームとなっている。100年以上前の日清日露の時代と比較する考察も幾多ある。石平氏の最新作『韓民族こどが歴史の加害者である』は有史以来の歴史を紐解きながらこれまでの朝鮮半島が大国のパワーゲームの草刈場となったという被害者の視点を覆す斬新な視点を与えてくれる。日本は朝鮮に政冷経冷で関わる、もしくはケント・カルダー氏のいう「COLD PEACE」の状態が極東安保の最適解だという理論補強となる。
 さてそうこうしているうちに西欧世界でも「歴史が動いた」。言うまでもなくイギリスのEU離脱である。欧米メディアの論調は「逃げたイギリス」にやや批判的だが、日本のメディアは大陸に向き合う島国という、EUと中国という巨大パワーとの関係性から感情論を抜いた客観的な見方が広がっている。しかし目先の分析、説明が多く、経済的損失を受け入れてまで離脱を選択した理由と背景についてクリアに分析したリポートはない。ここで参考になるのはフランスの社会学者エマニュエル・トッド氏が昨年出版した『ドイツ帝国』だ。ドイツがEUを生J的経済的に支配し、19世紀から20世紀に描こうとした西欧世界の制覇を事実上なし得えたという実態。そのことへの警鐘とその反動が記されている。反動の端緒がイギリスの離脱というわけだ。シュレーダーの描いた経済成長モデルが花開いたドイツ。経済統合によりEUの巨大内需市場を作り、東欧の安い労働力、エネルギーはロシアのガス、輸出は中国という産業スタイル。東アジアの政治的緊張が続く日本では不可能だ。
 盤石と思われたドイツとEUがギリシャ危機以降大きく揺らぎ始めている。ユーラシア大陸の東西で歴史の時計が大きく回り始めている。
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