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死語としての「自分の居場所探し」2012年3月22日 [ニュースコメント]

10年以上前に盛んに使われていたのに今では殆ど使われることのない言葉がある。時代と見事にシンクロしたのだが、それが却って時代とのずれが明確になりだすとその言葉自体の存在が危うくなる。逆に死語を知ることで、今の時代が見えてくるともいえる。その死語に今や近づきつつあるという思うのが「自分の居場所探し」。「自分探し」ともいう。90年代に盛んに使われていた。テレビではドラマやドキュメンタリーのテーマとしても活字では小説やノンフィクションのテーマや若者を読み解くキーワードとして便利な言葉だった。豊かさを享受しながらもアイデンティティーの喪失を感じ、また自己実現感の足りなさを思う若者の精神的彷徨。これを自分の居場所探しと形容したのである。組織の呪縛から出よ、個を自立させよというマスメディアからのメッセージの発信。それに無批判に反応した若者たちの行動だったのかもしれない。 ゼロ年代を経て今は十年代。若い世代にとって豊かさとは旧世代が享受したものであり、自分たちは重い負担を背負いながら貧しさと見つめ合う、そんな時代である。若い世代は節約と貯蓄に励むか、豊かさを求めること自体をやめた。「あきらめと覚悟」の矜持を持ち、生き抜くことを第一に考える、そんな空気が世の中に蔓延している。貧しさと衰退にむきつつある社会をみつめて生きる。「自分の居場所探し」という語感が空虚に響く
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