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1998年問題 [ニュースコメント]

 精神医学に関わる人々に1998年は特別な年なのだそうだ。文藝春秋で藤吉雅晴が書いている。ひとつはこの年、自殺者が前年まで2万人台前半で推移していたのに、3万2千人と激増した。以来3万という数字は切ることがない。もうひとつは小中学生の不登校数が20%以上跳ね上がり10万人を突破した。社会の数字が人知れず大きく振れたかのようと藤吉氏は書いている。もっとも小中学生の不登校はそれまで不登校とされなかった事象も文科省の示す基準の変更で不登校とされた可能性がある。文科の通達の時系列を論証すればわかるかもしれない。社会風潮の変化で学校側も隠す必要性がなくなったかもしれない。数字にはそういうトリックがある。働く者の感覚として20世紀末の金融危機(1998年は山一破綻)から続くリストラ、会社の統廃合、賃金カットの連鎖、会社は社員のものではなく、株主の者であるという欧米流の考えの浸透、コンプライアンスの強化などで、組織の中で働くことの楽しさより、辛さを感じる人々が増えたのではないか。その頃か、その前辺りから「過労死」という言葉も登場している。働くことの中に遊びや人生の楽しみ、生きがいを見いだす日本人の人生観が大きく作用していると思う。浮き世→憂き世。藤吉氏はこの原因を心理カウンセラーの下園壮太氏の話を引用して解説する。そのひとつ「インターネットや携帯電話などの情報アクセスの過多が日本人の許容以上のストレスを与えているから」との説は一考したい。先日触れた小池龍之介氏の「考えない練習」の読後からかもしれないが、簡単に情報にアクセスできる環境は、その環境やコミュニケーションの維持に相当のストレスをもたらす。30代の世代で家の近くの禅寺に土日の朝坐禅を組みに行く人が知り合いで何人かいる。月~金は情報系の仕事に従事している人ばかりだ。「デトックスしたい」と友人の男性は話す。情報の受信状態を放置しているとどうしても心の「断捨離」が必要となるのか。
 ともかく98年問題。みなさんの脳裏に少しとどめて欲しい。

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