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フリージャーナリスト盛衰2012/07/10 [ニュースコメント]

 関口宏が「テレビ屋独白」という著書でまともなジャーナリストがいなくなったという発言をしてる、そうだ。テレビでスポーツ紙を紹介したのをみて、それをうろ覚えで書いてるからこんな曖昧な表現なのだが。新聞を、しかもスポーツ紙の三面記事をテレビで紹介されたものをあいまいに記憶して、それを会社や友人達の間でネタに話す。普通の日本人のよくあるパターンである。話がよれた。
 最近気がつくのは所謂「フリーのジャーナリスト」が画面から消え、雑誌からも消えたなということ。湾岸戦争やアフガン、イラク戦争では企業ジャーナリストの行かない危険地域に自ら望んで出向き、北朝鮮報道でやオウム事件では国内にあっても身の危険を感じながら誌面やブラウン管(もはや死語)に顔をさらしたフリーランスのジャーナリストたち。大物系はテレビコメンテイターとして辛うじて生き残ったり、どこかの大学教授におさまったりしているがそれ以外の面々は糊口の道をいかがしているのであろうか。なぜに彼等は露出を減らしてしまったのだろうか。出版業界では月刊誌の廃刊の休刊が相次ぎ、取材費を出してルポルタージュを書かせる仕組みが毀れてしまった。講談社はG2というノンフィクション誌を創刊したがうまくいってそうに見えない。大手新聞社もまずいくつかの社が週刊誌やオピニオン誌を廃刊した。新聞社系の週刊誌はフリーにとって恰好の働き場であった。ここから後にノンフィクション作家として名を馳せる幾多のジャーナリストが輩出した。
 テレビ業界はどうだろうか。確かにコメンテイターとしてのフリージャーナリストの居場所は今でもある。しかしよく御覧になればそこには弁護士やエコノミスト、タレント、映画監督など他業界の人間との居場所争いの場だ。しかもジャーナリストの発言は「説明責任」「説明不足」「透明性」「公開」「コンプライアンス遵守」「拙速」などどこかで聞いたキーワードで組み立てた常套的な分析が多く、ホントの意味で情報を持っているゲストが来たときにその危うさが露呈する。ジャーナリストなら自社の記者で十分だし、お金がかからないのだ。
 フリージャーナリストの苦境の原因は日本経済の衰退が一番の理由ともいえる。テレビは広告費減少でこの10年以上ものあいだコストカットが続いている。トヨタや松下、ソニーのCMがめっきり少なくなり、サプリメントやモバイルゲーム、パチンコ機(これも実は減った)のCMばかり。自動車産業や家電は海外に広告費を投入した方がより効果的であり、市場減少の国内に広告費を増やす戦略は経営資源の無駄使いで社内の仕訳や棚卸しの対象だ。
 TBSの土曜10時の「情報7daysニュースキャスター」はフリージャーナリストはおろか自局の記者氏も出演しないニュース番組である。1週間のニュースVTRをおもしろおかしく編集したものを局アナ、元局アナ、教育学者、お笑いタレント、女優が感想を述べる。それでうまくいってしまう。TBSはBSで深掘りしたニュース情報番組を似たような時間帯で
放送しているが、出演者は自局社員だ。テレ朝・朝日新聞系のBSにはこの間までフリージャーナリストが大勢出演していたがこの3月で打ちきりになった。

  日本経済の失われた20年はフリージャーナリストの稼ぎも奪ったのだ。


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