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少数民族問題と中国政府 2013年10月30日 [政治]

 北京中心部に天安門前に車両が突入し、炎上した事件は、中国が抱える少数民族問題の根深さを考えさせられた。当局は新疆ウィグル地区の独立派が起こした計画的動きだとして捜査を進めている。一方新疆ウィグル地区ではこの事件を機に政府が更なる統制への圧力を強めるのではないかと警戒している。
 ざっとこういったところがこれまでのところ報告されている。ウィグル族やチベット族などの漢民族以外の人々が多く居住する地区は往往にして山岳や沙漠地域にあり、経済的にも海岸部と格差が大きい地域である。民族や宗教の問題も当然だが根深い。歴代共産党の主要幹部はこの少数民族地域で業績をあげることで評価を得、中央に名乗りを上げてきた。この民族問題が中国の最も警戒するアキレス腱だという指摘は正しい。歴史的に見ても異民族の進出が中国の政治を変えてきた。元や清など例に挙げるまでもない。中国の西部、北部はある意味中国の脆弱ラインなのである。その地域を接する中央アジアやロシアとは格段に神経を使って対応している。南沙・西沙・そして尖閣でみせる顔とは違う中国がそこにある。ウィグル地区はかつては8世紀にウィグル王国を持ち、20世紀前半にも東トルキスタン共和国が樹立され、共産党が進駐後もアメリカに亡命政府がある。ソ連崩壊後のカザフスタン、ウズベキスタンなどトルコ系民族が相次ぎ独立を果たしたことに刺激されてここのところ独立への動きを活発化させている。ウィグルの人々はトルコ系遊牧民である。折しも安倍首相はトルコを訪問し社会インフラを含めた支援を約束している。19世紀のエルトゥール号遭難の際の救援、イラン・イラク戦争の際の見捨てられていたイラン在住の日本人を救出したトルコ航空など日本とトルコの関係は親密だ。2月に救出パイロットのオルハン・スヨルジュ氏が死去したときも安倍総理は丁寧な弔意を表している。オリンピック招致でライバル関係にあったが、それで国同士の関係はこじれることは到底ない。筆者の見方は穿ちすぎだが、中国での事件と安倍総理のトルコ訪問。国際政治の熾烈さの匂いを少しは感じたつもりだ。
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