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少子高齢化への暴論ともいえる秘策 [ニュースコメント]

 1990年代前半に1.58ショックがあって以来、少子高齢化問題は抜本的な解決はされてこなかった。当初は身近に感じなかったこの問題も、最近の景気低迷、日本経済の縮小化の顕在化、孤独死の日常的発生で痛切な身につまされるものとなった。我々はなぜこの問題を解決できないのだろうか。確かに議論はなされてきた。厚生労働省は施策を行ってきたと主張するかも知れない。しかし数字をともなった結果がまったく得られていない。故にこれまでの20年間の少子高齢化対策は間違っていた言わざるを得ない。はたして解決策はないのだろうか?このままでは年金・保険制度・生活保護といった社会保障制度は破綻するだろう。政治家も官僚も、国民もそれを知っている。自分たちの代でそれがおこらないように願っているだけなのだ。これから記すことはある種暴論である。しかし座して死するを待つのではなく、戦う気力があるのなら。。。敢えて提案したい。それは合計特殊出生率を今後10年間で2.1を達成できないなら年金制度・健康保険制度・生活保護制度を廃止することを政府が宣言することである。嵐のような反対がわき起こるだろう。だが破綻についていうならそれは5年以内に起きるかも知れないのだ。我々が社会保障制度を失うことの意味を政府は国民に問うべきだと思う。「10年以内に社会保障制度を廃止します」 豊かさに馴れた国民には人生の価値観をひっくり返すようなことかもしれない。何もしないままで破綻を迎えるか、国民全体で少子化と戦う10年にするか。暴論とは思いつつ敢えて主張したい。

太平洋共同体とは~外交版TPPとしての役割~ [ニュースコメント]

 太平洋共同体という地域協力機構がある。アメリカが南太平洋の島嶼国と結んでいる地域連携であり、本部はニューカレドニアにある。TPP同様、アメリカの国家戦略の武器になる予感を筆者は持つ。加盟国にはかつてこの地域に影響力を持ち、今なお植民地を持つイギリスやフランスの名前がある。さらにはオーストラリア、ニュージーランドという西欧世界の民主主義国家も。オバマのアメリカがアジアに地域外交のバランスを変えつつある今、この太平洋共同体が安全保障の上で意味を持ちつつあるのではと思っている。キッシンジャー博士が主唱する「米国とアジア諸国は中国とともに発展する”太平洋共同体”を作るべき」という指摘(『中国について』より)は重要な意味を持つ。中国に太い人脈を持つ博士は慎重で曖昧かつ二重の意味を持つ表現を米国の対中国政策について使う。明確にいうと太平洋共同体という民主主義の連携機構を強化し、中国にも参加を求めることで、中国の民主化を促すというものだ。これはTPPが中国にも門戸を開いてるというAPECでのカーク通商代表の言葉と一致している。中国が拒否、もしくは距離をとればそれは中国の孤立となり、結果中国の政治的膨張を封じ込めることにつながる。オバマ大統領は海兵隊をオーストラリアのダーウィンに駐留させる計画を発表した。基地の前方には東南アジアが広がる。沖縄、グアム、ダーウィンという3つの基地がASEAN凝視する形となる。さらにはインドとの連携も伝わってきている。ミャンマーとの関係改善も急進捗。中国を牽制・包囲するスクラムが次第に形を見せ始めている。日本もいずれこの太平洋共同体に参画するかどうかの決断を迫られるのではと思うがどうだろうか。

若い世代の政治参加~橋下圧勝の背景にあるもの~ [ニュースコメント]

 週刊新潮で高村薫氏が橋下圧勝に危惧を表明し、「大阪市民の私の周りに彼を支持する人はいないのになぜ」と記していた。高村氏の周りに誰も橋下支持者がいないのになぜに圧勝。こういう様相こそが今度の大阪W選挙の持つ意味を表していると思う。今回の市長選の投票率は60パーセント。前回に比べて17パーセント増。新聞や調査期間の報告を待ちたいが、この17パーセントの投票者のかなりの部分が20代、30代の若い世代だったのではないだろうか。高村氏の周囲とはどんな人々であろうか。出版人、ジャーナリスト、学者、研究者、芸術家、政治家といった人々ではないだろうか。政治思想の違いはあるだろうが知識層であり、永田町や霞ヶ関とのアクセスが容易な人々である。彼らは保守とリベラルの違いこそあれ、中高一貫教育で同窓、同級生という場合が多かったりするのだ。高村氏の交友関係を知らないでここまで推測するのはおかしいと思うが、作家で何十年と生活してれば自然と交友関係は限られてくるのだろう。おそらく彼女の交友関係は政治思想の違いこそあれ橋下氏を批判し、平松氏に投票した。日本の社会層から彼女の交友関係の層を引き算してみたらどうだろう。そこに今回橋下氏に投票した層が浮かび上がってくる。永田町や霞ヶ関にアクセスを持たない若い世代。「ドキュン」と呼ばれる層もいたかのしれない。お金も支配層とのコネも持たない人々。彼らからすれば高齢者はそれだけで年金が保証された「持ちたる世代」である。生活保護受給者ですら「働いたらマケー」という論理からすれば「持ちたる」人々である。
 こういうことを書くと「橋下市政で犠牲になるのはそうした持たざる人々なのだ」という反論もあろう。そうなのかもしれない。そうした苦痛を覚悟してでも橋下氏を支持したのではないだろうか。副作用を前提に抗がん剤投与を受けるがん患者を想像してみよう。二重行政の構造に相当の無駄があり、それを省いてほしい期待もある。二重行政を放置できる余裕はもう今の地方行政にはないのである。
「持たざる若い世代」の政治参加。この流れは次回の総選挙で必ず明瞭となるだろう。既成政党は先読みして何らかの先手を打つかも知れない。しかし心得ておくべき事がある。そこにはポピュリズムはないということだ。 


空洞化ではない、崩壊だ~もの作りニッポン~ [ニュースコメント]

 昨日2011年12月1日の報道ステーションの特集で古館キャスターが豊田トヨタ自動車社長のインタビューしていた。空洞化について尋ねられた時に豊田が発したのは「空洞化という生易しいものではなく崩壊」という答えだった。日本の製造業の頂点というレイヤーの高いところにいる当事者だからこそ言える言葉だ。

 政府はこれからは「農業」「医療」「環境」分野に雇用を開拓していくという。しかしどのようにして開拓していくのかそのビジョンが見えない。働く人々のどのような仕事がどのような施策によって作られるのか?何も見えてこない。就職できない大学生が地方へ行き明日から農業ができるのか?医療のどのような仕事が増えるのか?太陽電池はすでに安い労働力によって中国からの大量輸出が行われているが、生産拠点を外国に移しておこなったほうが競争力は維持できるのでは?などと疑問ばかりが生じる。そんな中での東京モーターショー。中央日報はアメリカの三大メーカーもこないみすぼらしいモーターショーと馬鹿にしたがはたしてどうかな。ショーでは車をタブレット端末化した新しい発想が紹介されていた。これはすでにコマツが始めている。トヨタにそのクラウドを持つという新しい人と車と企業をつなげる考え方だ。トヨタなりの答だと思う。その先にどんな未来が待っているのか。政府はこうした先進的な取組にもっと支援すべきだろう。中小企業だけに補填策を行っても最早効果はないのだ。心臓や脳の部分。こうしたトヨタの新しい取組への支援がよほど雇用を生み出す。鳩山・菅の2人にはそれが理解できないレベルだったが、野田総理はどうなのだろうか。


老いた気持ち~日本社会の今ここ~ [ニュースコメント]

アジアを旅し、日本に戻るとつくづく老いた国になったと思う。上海や広州の華やいだ夜景に馴れると東京の暗さは陰鬱な気分に襲われる。あんなギンギンラギンは悪趣味だという御仁もいるかもしれない。しかし経済の勢いがそのまま形になってあらわれているのは間違いない。テレビをつけてみると健康食品のCM、徳用老人ホームのCM。コンビニのコマーシャルにも老人夫婦の食卓が描かれる。日本の社会は老人がお金をもってるからそんなCMが多いのだというが、本来なら消費性向の高い若者向けのCMが多いのが普通なのだが。テレビの出演者もこの20年で老人が増えた。テレビは老いたメディアである。

 老人は失敗を恐れる性向がある。よく鉄板という言い方がされるが、これも「間違いない」からだろう。新しいものへの失敗をおそれないチャレンジ精神。これが失われつつあるように思える。震災ショックでいたわりや励ましのモードが日本全体に行き渡っている。しかしそれだけでいいのだろうか。

 大阪で橋下氏がリーダーである「大阪維新の会」がW選挙で圧勝した。その勝利の背景は若者の支持だった。変えていかないとつけを払わせられるのは自分たちだ。このまま老いた社会では生活も社会も維持できなくなる。 若者が立ち上がり始めた。


橋下グループのもたらすもの [ニュースコメント]

 大阪ダブル選挙で「大阪維新の会」が圧勝した。市長選の投票率は60パーセントを超えた。増えた分の多くは若い世代だろう。余命10年~20年の世代は今のままで何となく過ごせばいいと思っている。しかしその下の世代はそのつけを背負わされる。それはゴメンだ。その結果だろう。民主も自民もさらには共産党までポピュリズムのビジョンのなさを露呈した。もう「議論してる」場合じゃないのだ。

 大阪の地殻変動をみて永田町が動き出した。民主や自民の首脳が秋波を送っている。政界再編の匂いを感じ取っているのだ。しかしさらに動いているのは泡沫の政党だろう。亀井静香、舛添要一氏らの政党は維新の会との連携、そして結党を睨んでいるに違いない。大阪、名古屋、東京の首長が連帯して政党を立てる可能性もある。みんなの党はもちろんだ。だが待てよである。TPPや消費税、安全保障などの党の方向性の議論はどうするんだろうか?選挙対策の新党では今度は維新の会が国民に総スカンされるだろう。 橋下氏はそこのところしっかり行動すべきだ。 


「方向性としては正しい」~安易に使われるワーディング~ [ニュースコメント]

 政治家やメディアがよく使う言葉に「方向性としては正しい」がある。これは係助詞「は」がついており、その後にいろんな意味が含まれている。曰く「実現できるかどうかは別である」など。以下思いつくまま列挙してみる。「「議論を始めなければならない」「説明が不足している」「透明性が担保されていない」。テレビで幾度も耳にする言葉だ。かつて「善処する」という言葉があったが、これを国会で政治家や役人が答弁に使う場合には「やらない」と同義だと揶揄された。今頻繁に使われる言葉にもそうしたところがないのか?「方向性としては正しい」には「机上の空論、責任は持ちませんよ」という意味が含まれているように、「議論を始めなければならない」には「責任を分割することで背負いたくない」、「結論を下すのは自分ではない」という下心が透けて見える。「説明が不足している」と「拙速ではないか」という一方で「問題を先送りしている」。こうした言葉が安易に使われた結果がこの国の政治的混迷、劣化、負の連鎖なのではないか。

 政策仕分けが行われているが結論を下すのではなく「方向性」という形で議論の結果が 表現される。民主党の政治的不毛と「治める力」のなさが表れている。

 


進む海外投資の配当金の国内環流~日経11月21日朝刊~ [ニュースコメント]

日本企業が海外子会社から本社に送る配当金を増やしている。日経が朝刊でふれている。理由は2つあるという。一つは新興国向けの再投資、攻めの姿勢だ。二つ目は本社の財務の強化だ。これは守りの姿勢。この記事は企業レベルの立ち位置で書かれており、国の経済、マクロ経済のレベルからの視点はない。先週、筆者は空洞化対策として所得収支を上げよと記した。企業は筆者に触れるまでもなく、行うべき事をやっているということだ。問題はこの後だ。空洞化は雇用を奪う。そしてその犠牲になるのはブルーワーカーだ。少子高齢化に拍車をかえることなり企業に貯まった所得収支をいかに国内の経済に広く行き渡らせるか。これが政府の仕事であろう。海外投資で稼ぐ構図は今後益々明確になるだろう。この構造は米英ドイツ、フランスなど欧米で潜行している。我が国はこの先行国がどのように所得収支を国民生活にプラスにさせるかを知るべきだろう。無策の民主にはこれくらいしかできないだろうが。

農業・医療の再生は可能か [ニュースコメント]

 本日2011年11月17日の日経一面左の企画はTPP特集の中。タイトルは「農業・医療 再生今こそ」というものだった。農業も医療も厚い規制に保護され、JAと日本医師会という巨大な圧力団体が存在する。民主党政府は雇用創造の分野として農業・医療・介護・環境を挙げているが環境以外の産業は税金によってファイナンスされている。規制に守られたままでは市場規模が大きくなればなるほど財政支出が増えることとなる。強い雇用を喧伝した菅直人政権が増税を掲げたのはこういう背景があると思う。しかしそれでは大きな政府による高負担社会となる。民主党のマニフェストにはその逆のことが書いてある。

 さて日経の記事に戻ろう。記事では新潟の農業法人が台湾でコメの現地生産を始める試みを紹介している。個別的に日本の各地の農家の有志がこした取り組みを始めている。筆者はJAが主導して海外で農地を開拓するくらいの規模で行うべきだと考える。その際 は経済界の協力は必須だ。国内では日本の主立った専業農家を法人化する。海外からの食料輸入の変動に備える意味もある。近未来的にTPPで安い食料が入ってくるがその先は食糧危機があるかもしれないのだ。

 同じことは医療にもいえるのではないのだろうか。TPPの枠内で医療交流を進め、医療水準を共同して上げる方向に進められないのか?医師不足、そして医療費高騰をTPPを使って解決することを模索できないのだろうか。日経が指摘しているように、農業も医療も閉ざすことによって維持し、結果的に既得権益を生み、それを守ろうとする強大な集団が作られ、必要な改革は置き去りにされた。攻めの開国は日本の弱点を強みにかえる好機だ。しかし問題はJAと日本医師会という既得権益を保護する団体をいかに変えていくかだ。政府に、そして野田総理にその覚悟と手腕はあるのだろうか。


広告に代わる金を使わせる概念「ゲームフィケーション」 [ニュースコメント]

 先日手にした本に『ぼくはお金を使わずに生きていくことにした』がある。イギリスで1年間お金を使わずに生活する実験をした29歳の若者の本だ。そんな若者のためにお金を払って本を購入するのも皮肉なものだが、まあいいだろう。年末を迎えクリスマス商戦が始まる。街には広告があふれ、テレビにはCMが流れる。ところが広告業界は元気がない。震災関連で収入が激減。某国代理店に勤める人間はボーナスの大幅カットに肩を落としているという。インターネットが普及し、消費者の、そして企業の広告に対する姿勢が変わった。消費者はネットで買うべき商品の情報をさぐり、価格を比較し、そして共感できる商品を購入する。企業もネットにより、広告の本当の実力を知り、広告代理店には情報を要求する。そして広告費は下がり続ける。広告というビジネスモデルに依存していた雑誌やテレビ局は多角化を要求されている。だが現状はうまくいっていない。

 さてここに来て元気な企業が二つある。DeNAと GREEだ。両社は携帯ゲームの配信で売り上げを伸ばしている。AERAは今週号でモバゲーを特集。急速な勢いで伸張する企業を取材している。面白かったのはゲームフィケーションという考え方だ。詳しくはウィキなどで確認してもらいたいのだが、ゲームに夢中になる装置を作ることにより、課金が増えていく、そういう属性が込められているというのだ。アイテムをゲットし、知らないうちにお金を使っていく。その仕掛けにゲームフィケーションが使われているというのだ。テレビの世界ではクイズなどと同様、ゲームという演出が有効だとは思っていたが。まあゲームの世界でゲームフィケーションというのは不思議でも何でもないかもしれない。しかしゲームフィケーションという概念として意識されることが重要なのだ。金を払わせるシステムとしてのAdvertisement(広告)に代わって、ないしはそれに組み合わさってゲームフィケーションという考え方が今急速にビジネスモデルとして浸透している。かもしれないのだ。

 AERAによるとDeNAにはことし45人の採用数の内20人が東大生だったという。ゲームフィケーションに関心を持つ才能を集めているかもしれない。


TPP拡大 [ニュースコメント]

カナダ、メキシコが交渉参加を表明したTPP。世界経済の4割を占める経済圏ができあがることで俄然局面が変わってきたように思うそれは中国を意識した包囲網である。昨年の11月9日に筆者はここのブログでJR東海の葛西会長のcolumnを引用しながらこれは21世紀のABCD包囲網であると記した。ただ包囲するのは日本ではなく中国だと。TPPは外交専門家の眼から見ると日米安保の展開型だとされる。BSライブニュースフジで中西輝政氏や森本敏氏がTPPに参加しないと日本の将来はないと主張していたが、それは経済的にではなく安全保障手の点からである。一方中国も手をこまねいてるだけではない。ASEANを軸に広域自由貿易圏の構築を目指す。ここで中国が強調するのは巨大な中国マーケットの魅力だろう。参加国に様々な便宜をはかり、TPPに軸足を持とうとする国に飴と鞭の対応を行う可能性が高い。

 TPPの外交防衛的意義について云々と言われると読者の中に中国はがロシアや中央アジアの国家で作ろうとする上海協力機構を想起する人もいるのではないか。ユーラシアの非アメリカ的価値観を持つ国々政治的経済的連携だ。これを危惧したアメリカは上海協力機構にオブザーバー参加を試みたが拒否されている。TPPはアメリカのその意趣返しともみてとれる。ここで注目となるのがインドだ。インドは上海協力機構にオブザーバー参加している。中国と並ぶ巨大マーケットの潜在国だ。インドをどちらがとるか。インドはどちらを選ぶか、両方か。それともなしか。インドの態度で帰趨はきまると思う。

インドの前に人口2億のインドネシアの存在もある。TPPは外交防衛の論議から日米安保のまたその上の視点から見るとまた別の側面が見えてくるのではないだろうか。折しもKissingerが日本に来ている。TPPをどう外交的に経済的にcreateするのか。88歳になっても以前明晰な博士の脳裏に去来してることではないだろうか。 


所得収支就中投資収益をあげるしかない [ニュースコメント]

円高、法人税の重さ、そして電力供給の不安定さ。民主政権の無策の結果生じたこれらの経済状況で企業も見切りをつけ、ここのところ空洞化が大きな流れとなってしまった。大企業だけではない、中小企業たちも雪崩を打ったように工場を海外に移しだした。これは貿易収支の現象の形とすでに現れている。震災の影響が喧伝されているがこの空洞化の数字も看過できない。貿易立国として豊かさを作り上げてきた日本だが、このままでは中規模国の経済に落ち来むことになる。財政赤字1000兆円。ギリシャ同様のデフォルトが見えてきた。日本は経済構造を変える必要に迫られている。そのひとつが所得収支ををあげるということだ。特に海外に投資した収益を増やすことが重要になってくる。その金の流れをどう作るのか。こういう仕事を行うのが今の政治家の役目だと思うのだが。。。。

Déjà vu~あの時に似てる~TPP交渉参加決意表明2011年11月11日~ [ニュースコメント]

 くさい芝居を見させられたというのが11年11月11日の野田総理のTPP交渉への参加表明であった。「交渉参加に向けて」関係国と協議に入る」。正確に言えばそういうことなのだろう。しかしこうした表現をすることが、強硬な反対を続けていた前農相の山田正彦氏たちが「ほっとした」という発言を引き出した。あの発言を聞いて「あれっ?」と意外に思った人は多かったのではないだろうか。翌日の朝刊の一面はほとんどが「TPP参加表明」とはっきり明記さした見出しが飾られていた。萬歳JA会長は「参加を断念しなかったことは極めて問題だ」とはっきり抗議し、引き続き阻止に向けて徹底行動を続ける意思を表明しているのに、である。唐突に振り上げていた拳を降ろした山田氏やその両隣にいた首藤氏、原口氏。このシーンどこかみたことがある。Déjà vu。時計は5ヶ月遡った6月2日。民主党の党代議士会だ。菅直人総理は「震災対応が一定のめどがついた段階で若い世代に責任を引き継いでいきたい」と述べたあとの民主党の造反議員たちの対応だ。時の鳩山前総理がマイクを握り、菅の決意を「労」とし、さらに菅総理の不信任決議への賛成を表明していた原口氏は一転、反対に回った。笑顔で衆院議会に向かう彼の姿を思い出した。

 要するに事前に首相の文言を決めた段階で「決まっていた」わけである。 野田総理の今回の対応を「うまくさばいた」としたのは岩見孝夫氏や田勢康弘といった長年政治記者として永田町を見てきたプロ達。しかし一般の国民にとってみればなんだかよくわからない玉虫色発言だろう。時間をさらに遡ろう。1年前の11月13日の横浜APEC。ロイターは菅直人氏の発言をこう伝えている。「菅直人氏は13日の午前、APECの首脳会議に先立って当地で開催されているサミットで挨拶しTPP交渉参加に向けて「関係国と協議を開始する」と表明した」と記している。総理の発言を見ればこの1年何も変わってないともみれる。参加表明の文言そのものがDéjà vuなのである。TPP参加表明のゴタゴタはいったいなんだったのだろうか。


11月11日TPP参加表明 [ニュースコメント]

 東日本大震災から8ヶ月後の11月11日。野田総理はTPP参加への政府としての意思を表明する。大方の見方は参加と言うことだが、今やTPP参加問題は政局になりつつある。表明一日延期は野田総理の政権掌握力を弱める方向に向かわせている。この問題を政局につなげることに筆者は危惧を感じる。繰り返された政治力学が働き、この数年繰り返された光景をまた見させられるのではないか。それにしてもメディアはTPP問題を具体的に伝えてこなかった。対立を扇情的にあおるだけである。まともな議論と論点が整理されたかなと思ったのは先週のNHKの日曜討論くらいのもで、それでも農業問題に偏りすぎていた。

TPP問題は民主党政権の無策のつけであり、安易な政権浮揚を計ろうとした管政権の浅薄な判断の結果でもある。自民党もかなりの責任を伴うとは思う。だが民主政権の2年でこの国の衰退が前倒しになったのは事実だ。その衰退の具象化の結果がTPP問題ともいえるのだ。日本は末期のがん患者 と比喩する見方がある。手術という痛みを避けたり、よくわからない民間治療に頼ったりしたが、いよいよの段階が来た。目の前にあるのは強い副作用を持つ抗がん剤である。そしてドアをあければそこは手術台。今はそんなところなのかもしれない。TPPは抗がん剤だ。


家電淘汰!~週刊ダイヤモンド11/12号~ [ニュースコメント]

今週出ている週刊ダイヤモンドの特集が興味深い。「パナソニック・ショック」。パナソニックのテレビ事業縮小の衝撃は戦後のモノ作りニッポンのプライドを打ちのめすに十分だった。円高、台湾・韓国との体力勝負の消耗といった背景はいうまでもないが、この号を読むとどうも先があるような気がしてくる。それは次世代テレビへの対応である。スマートテレビである。アップルやGoogleは携帯電話の先にみているものはテレビである。ネットとテレビが融合した新しいテレビの登場がすぐそこまで来ている。Steve・Jobsのビジョンの最後にあったものはこのスマートテレビであったはずである。すでにアップルTVでその片鱗は見えているが。sharpが,パナソニックがSamsunがこの「iTV」を製造するとしたら。。。。テレビ業界の地図が一変してしまう。良くも悪くもアップル頼みなわけだが。著作権でアップルと争っているSamsunはこの点で危うい立場にある。しかし日本もわからない。台湾勢がいる。ipodやIPHON、Ipadのようにメーカーに発注してそれを組み立て、ソフトも含めて販売する。そのプラットホームはアップルが独占する。このビジネスモデルがテレビの世界にも来る。そのチャンスを逃すな。SHARPもPanasonicもSONY?も固唾を呑んで待っているのではないのだろうか。おそらくその時期は来年。ジョブスの遺言が明らかになると思う。

EU危機をどうみるのか~20世紀型民主主義の終焉~ [ニュースコメント]

 G20はギリシャ危機の対応に追われた。そしてイタリア財政はIMFの監視のもとに置かれることとなった。イタリアがギリシャのような情況になればEUの危機どころか1929年以来の世界恐慌となる可能性がある。事実それは始まっているのではないのか。ギリシャがなぜこんな事態を招いたかの分析はいろいろなされている。各政権が政権獲得もしくは維持のためにポピュリズム政策を行った結果だと。公務員の増員、年金支給開始の年齢引き下げ。統一通貨ユーロを採用した結果、実際の財政実態を隠蔽し、また破綻の危機が訪れてもドイツやフランスが助けてくれる。そんな楽観主義がギリシャにはあった。などなど。しかしその根底にあるのは民主主義という政治体制そのものではないかと。20世紀に入り西欧の民主主義は社会主義に対抗するために社会主義の施策を先取りするような政策を取り入れてきた。そこには資本主義と技術革新、エネルギー革命といった複数の基盤があってこそ成り立ったものだった。一番大きかったのは東西の対立だ。しかし東西対立の終焉による世界経済のグローバル化はこうした基盤を洗い流してしまった。先進国だけが享受していた豊かさやコモディティはアジアを中心とする発展途上国に移り、先進国は雇用と安定した税収入を失った。そして先進国共通の少子高齢化。豊かさの軸が大きく東進南進しているのだ。東西対立の終焉は民主主義と資本主義のユニットを破壊したのである。あたかもあの東西の壁のように。直接民主制の発祥とされるギリシャの首相がEUの要求を受け入れるのかどうかを国民投票に問う行為に出て結局取り止めた。歴史の示唆なのか皮肉なのか。一方に於て「開発独裁」のモンスター中国の台頭。社会主義と資本主義を改良し、スピードとボリュームを持った国家が自由と民主主義を掲げたアメリカの支配に新たな覇を唱えている。佐伯啓思は「自由と民主主義をやめる」(幻冬舎)という著作を出している。これはアメリカの金融危機にインスパイアされて著したものだが、彼の歴史的直観は当たっていたと思う。そこからの脱却は「日本的精神」だという。アメリカでもない中国でもない日本とはいったい何なのだろうか?それはかつての八紘一宇の思想にもつながるのではないか。保守思想家の佐伯なら当然かもしれない。王道を唱え、アメリカの覇道に敗れた過去を持つ日本の捲土重来?思想的政治的困難が見えてきそうである。TPPの選択の可否その一歩なのかもしれない。

倭の五王、聖徳太子、遣唐使の派遣とその廃止、江戸幕府の鎖国、そして明治維新、さらに先の大戦。この国とそ外つ国の関わり合い方において歴史的な判断に日本人とこの国家は今迫られている。 


”新出稼ぎ時代”~もはや空洞化は不可避だ~2011/1023 [ニュースコメント]

 本日2011年10月23日の読売一面の「地球を読む」は経済学者の伊藤元重の空洞化対策に関してのコラムだった。TPP参加に賛意を表し、日本の産業構造が転換の時だと力説する。伊藤の指摘のように欧米や韓国と日本は生産拠点の魅力度を争う制度競争をしている。その魅力度が今の日本は他に比べて劣っている、そしてその魅力度を上げることはほぼ無理だと筆者はこのブログで書いてきた。空洞化はもはや逃れることのできない流れなのだ。

 伊藤は言う、かつてオイルショックの時に日本は重厚長大産業からエレクトロニクスや精密機械といった軽薄短小産業へと比重を移すことができたのではないか。しかし今回の波は明治維新以来の「モノ作りニッポン」を根幹から揺るがす波であり、簡単にはいかないことは伊藤も知ってるようだ。家電や自動車産業一辺倒のあり方をやめ、「八ヶ岳型産業構造」にとか、外交人労働力を積極的に導入とか、近隣のAsiaの成長を取り込むとか、ベイスオブピラミッドとか。。。。どれもこれまで指摘されてることを列挙するだけだ。彼自身これはというビジョンが描けていないのだろう。

 これまで筆者は日本はモノ作りから資源大国へというベクトルを提案してきた。日本がモノ作りで培ったテクノロジーを資源の創造と開発に集中させることが日本の生き残る道だと。筆者はここでもうひとつの提案をしたい。それは海外に出稼ぎに行く人材や企業を飛躍的に増やせということである。新しい”出稼ぎ”を奨励し、いやするだけでなく実行すべきと。 具体的にはかつて英国が東インド株式会社を作ったように、成長途上にある国家に日本の拠点を作り、その国と日本との間に無数のビジネスの流れを興していく。日本のPOPな文化交流も含めてだ。そうした理解促進を図りながら共生的土壌を作りビジネスの流れを深く太くしていく。さしあたりはTPP参加国からはじめてもいい。

 議論の時間はとっくに過ぎていく。 財政と経済の衰退化の先は68歳への年金支給、消費税アップなど国民にも見えてきた。実行の時なのである。野田総理はAPECでTPP参加を表明するらしい。TPPは強い副作用を与えるかも知れない、いや与えるだろう。筆者も情念的にはTPP参加には反対だ。しかし日本はその副作用に耐えて”抗がん剤”を投与しなければならない。そんな事態なのだ。野田総理の覚悟はどうなのだろうか。


野田総理の治める力 [ニュースコメント]

決まらない動かない進まない。国の力がどんどん落ちているのに有効な手立てが打てない。9月4日に日経の論説委員長がコラムの冒頭に述べたくだりである。コラムのサブタイトルは「治める力を取り戻そう」。治める力のない政権に政治主導をまかせたばかりにこの2年、政治は無策失策を繰り返し、国民生活は不安に嘖まれている。そして今年は原発事故、そしてTPP参加問題、さらには68歳の年金支給改定議論。国のこれからを左右する岐路にあって治める力のない政権が「政治主導」しているこの国の実態。放射能不安のない四国を行脚中の菅直人氏は「東電の撤退を早朝乗り込んで阻止した。これは後世かならずや評価されると思う」と述べているそうだ。しかしまともな宰相なら電源停止した時点で宰相は緊急発令であらゆる判断と権限を政府の危機管理化に置き、集中させ、指揮命令系統simpleにしたと筆者は考える。総理官邸で怒鳴り散らす一方で対策と判断を丸投げにしたトップではなかったら、水蒸気爆発は起きなかったかも知れない。旧官邸から聞こえてきたのは言訳と、徹夜で一生懸命やったとか、自己保身と言訳ばかりだ。そのことにすら気がつかない元宰相はやはりそういう歴史的評価しか与えられないのだ。

 野田氏が中曽根元首相を訪ねて、大勲位から「長期政権の可能性がある」と「お褒めのお言葉」を頂いたという。野田氏の脳裏には大平氏、そしてこの中曽根氏、さらには消費税導入を決めた竹下氏の仕事があるのではないか。80年代「自民党政治の最後の輝き」を見せた時代の宰相。確かに経済は世界№1の勢いを持ち、政治は60年代、70年代の米ソ冷戦構造のによるイデオロギー対立が終焉。世界が日本を羨む時代だった。野田氏がそんな時代の宰相に周公の理想政治を重ね合わせているとしたらちょっと待てと言いたい。今の日本が陥っている政治的課題の芽はすべてこの80年代に生まれるか摘むべきものだったのである。

 大平氏の総理の時代の1978年。合計特殊出生率は1.79となり、5年連続して人口置換水準を下回った。つまり人口の自然減が始まってそれが定着した時期なのである。この時期にしっかりとした少子化対策を打っていれば今のような年金問題や健康保険の破綻の問題もなかったのである。また中曽根氏の場合はやはりプラザ合意だろう。1985年のニューヨーク・プラザホテルでの合意がその後の日本のバブルとその崩壊、失われた20年の起点となった。そしてその時の蔵相でもある竹下氏はふるさと創世事業など地方にバラマキを行い、結果的に地方を補助金付けの組織にしまった。リクルート事件などで政治と金にまつわる話は今の小沢氏につながっている。

 賢明な読者にはおわかりだろうが表面的に順調にいってるときにこそ次の破綻の芽が作られ、それがやがて辺りを覆い尽くしていくのである。それが今である。これから30年は小生の眼には苦難の道しか見えない。

 長々と書いてしまったが野田氏が心に描くべき総理は順調な時代の総理ではなく危機を経験した直後の総理であろう。治める力は80年代をみてては養えない。 (※大平正芳氏は総理在任期間は1978-1980)であるが80年代野政治に架橋的な役割を果たしたと筆者は考える。


ウォール街デモ~出口なき資本主義の崩壊の予兆なのか~ [ニュースコメント]

 今週末もウォール街でデモが呼びかけられている。彼等は自分たちを99%だという。残りの1%はウィール街で巨万の富を所有している人々のだ。アメリカの富は1%の富裕層によって独占されている。彼等はオバマを大統領選で支持した人々でもある。このことがこのデモの行き所を見えなくしている。一方で経済と軍事力の拡大を続ける中国の台頭。かつて『歴史の終り』を著したフランシス・」フクヤマは近著『アメリカの終り』で権威主義体制の挑戦を受けた民主主義として岐路に立つアメリを論じている。資本主義の揺らぎだけではなく、民主主義そのものが揺らいでいるというのだ。考えてみれば中国の「社会資本主義」は資本主義の欠点を改良した資本主義であり、またソビエトの社会主義崩壊に学んだ改良された社会主義ともいえる。「大規模な経済決定を迅速にそして効果的に実行できる」一方、共産党の一党独裁はそのままで、国民の多くは政治に参加することができず、人権は抑制され、社会主義が本来目指していた格差はむしろ拡大する。矛盾を孕みながらも国としてのパワーを増強しつつある中国。そして週末ウォール街に集まるデモ参加者。その参加者もウォール街の住人も、そしてワシントンの為政者達も出口の見えない20世紀資本主義の崩壊とこれまで信じてきた民主主義の限界をそれぞれの立場で感じ取っているのではないだろうか。日本のお台場のフジテレビに抗議する人々もそして脱原発デモに参加する人々も何か同じものを感じ取っているのではないのだろうか。
アメリカの終わり (講談社BIZ)

アメリカの終わり (講談社BIZ)

  • 作者: フランシス・フクヤマ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/11/29
  • メディア: 単行本

年金68歳受給の議論 [ニュースコメント]

厚生労働省は将来年金の支給開始年齢を68歳から70歳程度に引き上げる検討の議論に入った。消費税も値上げし、年金の支給開始も引き上げ。国民の多くが納得しないと思っているが、税収が40兆で支出が100兆の国家財政では遠くない時期に来ることが予想されていた。ところが民主はそうならないようにとあのマニフェストを掲げ政権交代をなしたのではなかったのか?多くの有権者は自民党にはできない大胆な改革を行い、年金制度を破綻から守ってくれると期待していたわけだ。しかし政権交代後は年金制度は何が解決に向かったのだろうか?2年経ったら増税と受給開始の延長。定年から受給までの空白の年月をどうすごせばいいのか?60代後半は脳梗塞、心筋梗塞、癌のリスクが更に高くなる。もしこうした病気にかかったとしたらどうすればいいのか?仮に定年制が延長されたとしても大卒就職率が6割というのに若者の雇用をさらに奪うことになる。

民主党政権は1年前に「一に雇用二に雇用」といっていたが逆の政策を行っている。6重苦の製造業はどんどん海外に生産拠点を移すのに法人税値上げ。このブログで繰り返し述べてきたことだが、治める力がまったく不足している。国難ここに極まれりだ。 

 


「議論する」と答えるのはやらないこと、責任を回避することだ [ニュースコメント]

 民主政権の首班の答弁で多いのは「議論を始める」「議論する」という言葉だ。菅直人氏の時代に顕著に目立ったが、野田氏もAPEC一ヶ月を切るこの時期に「議論を始める」と答えている。これは決断と責任を回避しようとする際に発せられる言葉だと筆者は考えている。民主政権の経済無策で空洞化は行くべき所までいき、自動車産業の国内生産基盤は現在の5分の1にまで減少するとさえいわれている。民主政権は危機意識がないか、あるならば無能ゆえ打開策を実行できないで居る。結果を全く残せていない政権に長居は無用。民主は総理の在任期間が短いから政策が実行できないと言うがそれは実績を残している政権がいうべきであ。実績を残せていない政権がこのまま2年無策を続ける可能性ほうが高いに決まっている。

 「議論する」という言葉を乱発する為政者ではなく実績と数字を残す為政者が必要だ。その為政者が登場するためはどんどん総理は交代してよい。 

 


フジテレビ反韓流デモとウォールストリートのデモ [ニュースコメント]

 アメリカのウォールストリートを優遇しすぎだという高い失業率に怒る市民のデモ。日本でも連日報道されている。一方日本のマスメディアには全く報道されていないがネットではスレッドを重ねつつあるフジテレビへの反韓流デモ。関係なさそうにみえるが筆者は根底を同じくするデモだと考えている。ウォールストリートがアメリカの富裕層を代表しているのと同様、フジテレビも日本の富裕層を代表しているといっていい。日本一と言われる1500万を軽く越える平均年棒。都心の高級マンションに住み、外車に乗り、休暇は海外旅行。社内結婚すれば3000万円を越える年収だ。フジの反韓流デモの裏側にはこのフジテレビ社員の富裕への怒りがあると考えるのだ。格差への怒り。これこそがフジテレビデモの本当の理由なのである。

Steve・Jobs~天才と日本人~ [ニュースコメント]

 5日に亡くなったアップルの前の経営者Steve・Jobs氏の逝去。フェスブックやツイッターでは彼への讃辞と追悼の言葉が重ねられていた。オバマの声明のように彼の死は彼の発明した端末で多くの世界の人々に知らされた。これこそが彼の業績を如実に示していると。ただ彼の発明はプラスばかりではなかろう。音楽やゲームに関わる多くの人が仕事を失ったのも事実だ。新たな雇用を生み出しながらそれまでの雇用を破壊する。カテゴリーキラーの商品はほぼそういうものだ。

 アップルのやろうとしたことはソニーがやるべきことだったのだという指摘がよくされる。コストカットとグローバリズムに飲み込まれる中でSONYの最良のもの、つまりイノベーションへの精神が失われたという後悔の念も。創業者の井深や盛田が次々とこの世界から退場し、あとには「優秀」とか「頭のいい」とか「営業力がある」という人々が組織を運営していく。しかし彼等はイノベーションという能力ではまったく優秀ではなく、頭がいいのではない。失敗のない選択、様々な人間の期待値をまとめるのに長けるのではという人々なのである。少しづつ少しづつ企業は活性を失っていく。

 アップルは1985年、Jobs氏を追放した。しかし経営危機に陥ると再び彼を招聘し、結果アップルは世界一の企業となった。Job以降のアップルもSONYになる可能性はある。

  Steve Jobs氏がスタンフォード大学で講演した言葉に「hungryでいろ、愚かでいろ」というものがある。彼は学生にではなくアップルの後継者達にそういったかったのかもしれない。いやいつもそう言い続けてきたのかも知れない。利口なやつは失敗したらあきらめる。しかし天才はあきらめない。執着心をもってまた挑戦する。そして成功する。愚かとはそういう意味なのかもしれない。

 日本人はみなお腹が一杯で利口な人々になったのかもしれない。


外交無策のつけを払わされる時期が来た [ニュースコメント]

 鳩山、菅とこの2つ政権の外交無策。改めて指摘する必要はないが、どうやら2012年はこのつけを払わされる時期となりそうだ。御存じかも知れないが2012年は世界の主立った指導者が信任の改選期か、政権継承の時期に入る。国内世論を気にし、そのために内向きの政治姿勢と施策をとる傾向が多いといわれる。それぞれの国民世論をバックに日本に高圧的になる指導者が出てくるのではと思う。すでにその傾向は北方領土、竹島、尖閣列島などの問題に顕在化している。

 今朝のBS朝日の田原総一朗の激論!クロスファイアで田中均と森本敏の対論をきいてこの2年間の空白が日本の衰退を決定的にしたと思った。


鉢呂経産相辞任~大臣と記者の関係性が変わったのでは?~ [ニュースコメント]

鉢呂吉雄経産相が不適切発言で辞任した。北海道新十津川町出身。1889年に奈良県十津川村が大水害にあったとき村を出た人々が開拓した町だ。被災し、住む村を離れるという、まさに福島の被災者達と同じ痛みを祖先に持つのが鉢呂吉雄氏なのだ。祖先の出身地奈良県十津川村が112年ぶりの大水害を被ったこの時期に、その村の子孫がスタートした野田内閣を早々に躓かせた。件の鉢呂氏。昨夜行われた辞任記者会見は長時間に渡って応答し、その印象からすると人柄は良さそうに思えた。国体畑が長いそうであるから党内ではコミュニケーション能力の高さを買われていると思われる。失言失態は2つあったという。1つは原発周辺の街を「死の街」と評して発言したこと。もう1つは帰京の際に取材記者に「放射能をうつしてやる」とおどけた言動を示したこと。この2つがなぜ辞任に至ることになるのか、鉢呂氏は当初理解していなかったように思える。社会党に在籍していた鉢呂氏。反核運動に関してはある程度の理解を持っていたはずである。「死の街」もおそらく発言した際は「文学的な表現」くらいしか思っていなかったのではないか。そして「放射能をうつしてやる」の言動は既知の記者を取材陣の中でみつけて親しげにおどけてみせた、そんなところだろう。一国会議員から官邸に入り大臣になったとき、dungeonが変わる。そのことに気がつかなかった。おどけてみせた記者は政治部でつきあいがあったのだろう。しかし経産省は政治部出身の記者だけではなく経済部出身がおり、その場には知らない記者もいただろう。組閣後10日も立たない時期にそんな言動を行えば結果は明らか。狭い閉ざされた世界でなあなあでやってきて、人なつっこさと至近距離でのコミュニケーション能力の高さを、過信した結果かもしれない。一国会議員と大臣の立場の違いを理解していない閣僚はまだいると思う。民主党政権の認識の甘さから来る負の連鎖はまだ続くだろう。


島田紳助100の言葉 [ニュースコメント]

 週刊誌は相変わらず島田叩きをやってるようだが、私は静かに彼の本を読み返している。その中に引退を予見したような文章があったので記しておく。「現に私が引退しても誰も困りません。急にやめるから困るだけで、1年後にやめると言ったら誰も困りません。だから重苦しく考えない」

 例えば引退を、やめるを「死」に置き換えたらどうだろうか。人は40を過ぎると死を考えるようになる。でも急に死に直面する状態を創造しよう。本人が狼狽えれば周りが困るし、悲しむ。1年後に死ぬと宣言して心の準備を開始すればどうか。身辺の整理をしていく。そして迎える死。「死は自分に、そして家族に、周りに静やかにあるだけだ。おっと島田紳助でこんなことを考えてしまった。


生活保護とエネルギー問題~WEDGE9月号~ [ニュースコメント]

 先々週キオスクで買ったWEDGE9月号は生活保護とエネルギー問題を特集していた。どちらも喫緊の課題。日本の現在そして未来の豊かさの問題でもある。生活保護は3兆円となり自治体の財政を圧迫している。大阪市は国が面倒を見て欲しいと平松市長が述べている。大震災を受けた東日本の自治体も思いは同じだろう。一方一度生活保護を受けるとなかなか抜け出せないという。世代を超えて保護を受けている世帯も珍しくはない。その子供達にとって生活保護を受けるのは当然であり、医療も、そしてNHK受信料もただなのも権利だと感じだすかも知れない。貧困ビジネスが横行しや受給日にパチンコやボートレース場に駆け込む受給者の存在がテレビで報道されている。近い将来に生活保護制度が破綻するのは目に見えている。現物支給やリサイクルシステムの活用などの導入を急がねばなるまい。日本の今の国力では現行の社会保障制度の維持はもはや無理なのである。

 さてエネルギー問題。筆者は脱原子力派に与する者であるが、30年~50年のスパンをかけてのslowescape派である。自然エネルギーや再生エネルギーに蝟集する政治家・経営者・自治体トップに怪しさを感じている。福島の土地が誰かに買い占められ、信濃川河川敷のようになってはいないだろうかとも思う。へそ曲がりといわれようがうさんくささを嗅ぎ付けるもである。 過激な脱原発の人々は中国の原子力発電計画になんら異議を申し立てない。WALLSTREETJournal紙は日本の地震と原子力の問題はそのまま中国に当てはまるというレポートを発表している(9月8日)。日経は2020年までに中国が50基の原発計画があると報じている。黄砂が降り注ぐ日本列島の地理的特徴を考えれば脱原発派でこの計画を無視するのは本来の意味で脱原発派ではないのでは。中国の脱原発派と早急に連携をとるべきだ。しかしいまのところそんな話は聞いたことがない。

 生活保護とエネルギー問題。冒頭述べたように日本が豊かさを失っていく過程の具象化といえる。健康保険制度も年金制度も政府やメディアはいわないが近い将来破綻するのは目に見えている。この雑誌の後記に編集長が破綻は逃れられない、むしろいかに破綻をソフトにランディングさせるかの問題だという趣旨を述べている。暗澹たる気持で同感だ。

 


まず鳩山・菅内閣の検証からからスタートを [ニュースコメント]

日本人は忘れやすいといわれる。野田政権となり、「どじょう云云」が喧伝され支持率は上昇。政党支持率も自民を抜いた。本来なら今こそが民主党にとっての解散時といえるのだが、さすがにそれはやらないだろう。ちなみに最近解散時を間違ったのは麻生政権だが。トップを変えただけで支持率が急回復する日本の政治土性(洒落でいってるわけではない。最近検索すると<泥鰌>がトップに来る)は呆れるばかりだ。日本を、そして民主党政権を取り巻く環境に変りはなく現実認識の乏しい宇宙人、国民の目先を変えることで延命を計り、無能と無策を糊塗した元市民活動家。彼等2人によって日本の危機が前倒しになって顕在化したことを我々は奇貨とすべきだ。鳩山・菅内閣の失政を検証しなければ、短期政権のループそして日本という国家の負の連鎖は止まらない。

 筆者はしつこいようだがこれからもこの2つの政権がおかした失政について論考していくつもりだ。腹を壊してトイレに駆け込み水に流すことの繰り返しでは下痢は一向に治らない。汚い比喩で恐縮だが。

 まずは直近の菅直人政権の失政について、就中根本的なところから考えたい。

<議会制民主主義の破壊>

 原発問題、尖閣事件などわかりやすい失政は後にして、彼の失政の中でも最重要で日本の国家の成り立ちを危うくさせたのが実は「議会制民主主義の破壊」と考える。このことにはっきりと言及していた識者は小生がテレビや新聞、雑誌で目にした限り2人いた。佐藤優と平野貞夫である。元外交官と小沢一郎の懐刀。「菅直人氏は期限を切った独裁 」という3月の参院で答弁中に触れた菅氏。そして「顔を見たくないなら法案を通せ」と市民運動家の集まりで公言する菅氏。衆参ねじれ状態にあってこうした考えを持つ人物が総理の座であることが日本の議会制民主主義の危機そのものだったのだ。このことを認識していた人々は小数だが確かに存在していた。菅氏が総理になり、議会制民主主義の中での意思決定が蹂躙された。それこそ菅氏の歴史に耐えうる評価になると思う。皮肉ではない。


野田内閣が直面する負の遺産 [ニュースコメント]

 今の情況にあって誰が総理になっても困難な情況が続くことは国民全体の理解だろう。そういう意味で各紙から出始めている野田内閣の支持率の高さは、今度の内閣は失敗できない、結果を出さねばならない内閣だという国民の思いが込められている。さて先日筆者は野田内閣のアキレス腱について述べたが、まだ補足せねばならないことがある。それは前政権の負の遺産の処理だ。震災&原発や日米関係、中国関係、TPP問題など、列挙にいとまがないが、敢えて重要視したいのが産業の空洞化だ。今企業の46%が生産基盤や、研究施設を海外に移転する意志を持っているという。また18%の企業が海外から誘致を受けているという。産業の空洞化雇用の喪失であり、富の流失である。年金制度や健康保険制度こうした経済の上でなりたっているものであり、空洞化が進めば日本は社会破綻となる。絶えず国民の目をくれあますことで延命をはかるような政権を放置して老いた御蔭で空洞化はこの一年深刻化した。円高に対して無策の姿勢を取りつ続けた菅政権は海外空洞化をむしろ推進しているようなものだった。この2年明らかに我々はこの国の衰退、そして豊かさ、安心・安全が奪われる危機を感じた。

 空洞化。震災や原発問題で見えてないが、本来これこそが野田政権の実は率先して取り組むべきアジェンダなのである。でなければ年金も健康保険制度も児童手当も生活保護制度も何もない国で我々は生きていくことになる。 


野田政権にアキレス腱はあるのか [ニュースコメント]

 野田政権がスタートした。「民主党政権で初めての保守政権」と与党内のある議員が称したというこの政権。党内融和を標ぼうしとにかくは船出を果たしたというところだろうか。野田氏の発する言葉には前任者のような人に「イラッ」と刺せるような棘はない。財務大臣になるまで毎日辻説法を行ったというだけあって言葉に力はある。「ノーサイドにしましょう、もう」とかスポーツに形容したものの言い方は筆者は嫌いだ。財務大臣当時、記者からの質問に対し、自民党政権の責任を強調するような物の言い方をかなりしていたがあれもやめてもらいたい。

新政権にメディアが寛容なのは100日といわれる。 それを過ぎれば批判、揚げ足取りの矢の数が猛烈な勢いで増えてくる。小泉以降すべての政権がこの矢に苦しめられ短命に終わった。野田政権にアキレス腱はないのだろうか。さっそく産経新聞が野田氏が外国人から献金を受取っていたとの報道を始めている。前原、菅氏に続く案件であり、自民党はこの問題からまず政権を攻めてくるだろう。さらには財務、経産、防衛、法務の担当者にその専門に関して力量が有権者には「未知」の大臣の存在。それぞれが今の、そして日本の将来にとって最重要な問題を抱えているだけに、これも不安の種だ。党内融和、派閥均衡の人事を行うと必然的にこうした課題を抱え込む。自民ならば官僚が手厚いバックアップ体制を敷いた。野田総理はどう切り抜けるか。

 個人的には玄葉外務大臣に期待している。テレビで彼の言説を聞くことがあるが、決して言訳をしない政治家との印象を持った。一方でネットで調べると「判断を先送りする、決められない」とのマイナス評価も。沖縄普天間問題。理と理、理と情がぶつかり合ってももはや修復できない情況にある。鳩山・菅といったコミュニケーション能力に欠け、narcismと現実認識を失った政治家には絶対に触らせたくない案件だ。玄葉氏は沖縄とどう向き合い解決してくれるのだろうか。


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