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政界激震の選挙予測~文藝春秋三月号~ [ニュースコメント]

 筆者はかねてより大阪市長選のメディアの結果予測と実際の結果の乖離に若者の投票参加があると指摘していた。これがどうやら新聞やテレビの内閣支持率、投票支持率にも同じ事がいえるらしい。文藝春秋三月号で選挙プランナーの三浦博史が述べている。これまでメディアが行う世論調査は「民主は悪いが、自民も伸び悩んでいる」との報道が目立つが必ずしもそうではないという。二十代・三十代の世代で自民支持層が急増しており、固定電話によるアンケートがメインでは高齢者や暇な人に偏りができてしまうという。最も三浦氏がニコ動調査でそうした判断をしてるのなら「?}である。筆者の記憶では民主圧勝の2009年の総選挙でもニコ動では自民が「圧勝」していたのだから。固定電話の調査では若い「無党派・無関心層」を把握は難しく、こうした「携帯電話層」の動向をどう把握するのがメディアの選挙予測の課題となっているのではないか。特に投票率が高い場合、大阪市長選の時にその問題は露呈する。次の総選挙は年金の恩恵の世代間ギャップ差が争点になり、橋下氏率いる大阪維新も国政に参加する。「携帯電話層」の調査把握が正確な選挙予測には必要となるだろう。

成長戦略・国と企業の異なるベクトルの愚かさ [ニュースコメント]

 日曜討論は貿易赤字の31年ぶりの赤字を入り口に古川国家戦略担当大臣が出席し、国の成長戦略を問うていた。貿易赤字の理由を問われて古川氏は「ひとつの業界に企業の数が多すぎる」「同じ戦略を同じ業界の多くの企業が雪崩をうったようにやる」などと述べ、企業の整理統合が必要性を強調した。確かにそうかもしれないが、彼の論説は司を担う大臣ではなく評論家のような印象を持った。企業が今盛んに生産と物流、さらには開発の拠点を移そうとしていることに言及はなかった。タイ洪水で日本企業は生産拠点をアジア各地に分散させようとしているが、これは洪水リスクへの対策である。同様に日本は電力供給不足と円高というリスクがある。企業がリスク分散のために拠点を移すのは当然の対応策だ。そこまで企業はGLOBALな視点で企業経営を行っている。アジアの学生を大量採用してるのもそうした理由だ。古川氏は日本の企業は生産拠点を国内に留めるのが当然と思っているが考えが甘いんではないだろうか。成長と生き残りの戦略が国と企業で違う方向を向いている。これがさらなる貿易赤字を生み、さらには経常収支を減らすことにつながっているのだ。 


元気、金、暇、知識がある、寂しい~麻生氏の描く高齢者の共通ワード~ [ニュースコメント]

 政界で数少ない経済実態を知っているとされる麻生太郎氏が報道2001に出演、自分なりの高齢者ビジネスの視点と考えを披露している。その中で自分なりに興味を引いたのがタイトルの5つのキーワードだった。少子化、そして内需の掘り起こしの対策として言われているのが所得の再分配。民主党は課税や社会保険の負担、さらには子ども手当や様々な補助金で再分配を試みようとしてるが、うまくいっていない。社会民主的な所得の再分配政策の厳戒が露呈している。社会福祉政策で内需を拡大しようという見方ともできるのだがこうした施策が効果を現すのは経済成長が順調な場合である。今の時代はひたすらため込む。生活に不安があるからだ。ビジネスの視点からみた所得の再分配が民主には欠落している。そのように思ってしまった。
 麻生氏は高齢者ビジネスが日本の経済成長と雇用を生み出すとし、そのキーワードは高齢者には①元気が有り②金を持ち③暇で④知識があり⑤寂しい という環境条件があり、これを意識したビジネスを展開することが大事だと力説する。筆者はこれまで「税金にファイナンスされない雇用を創造」が必要だと述べてきた。資源エネルギー産業の育成を施策で支援するのがそのひとつとも言ってきた。しかし高齢者ビジネスも雇用を生む素地があると考えた次第だ。むろん高齢者ビジネスには税金でファイナンスされる分野も多いだろう。だがそれ以外の税金にファイナンスされない高齢者ビジネスをどれだけ開拓できるのかも肝要だと思った。

若い世代の年金観 [ニュースコメント]

 毎日のように年金問題がメディアを賑わしているが、将来の負担増を背負うことになる若い世代の意見をメディアは余り紹介しない。小生は最近大学生に話を聞く機会があり、数人の若者の年金観に触れた。彼らは就職活動をしており、数年後に社会人となる予定だ。大手の企業の正社員になるべく企業訪問を重ねている彼ら。そういうことを前提に記す。ほぼすべての若者が年金制度についてこのままでは維持できないと考えており、社会人となって厚生年金を自ら払うことについて掛け捨てくらいのつもりで考えている。実際20歳になったら国民年金に加入しているはずだが、払っているかはわからない。ある学生はこんなことを言った。「会社に入っても厚生年金は払いたくない。あと3年で日本がデフォルトになってから払うか払わないか考える」学生は厚生年金が天引きであり、企業がその半分を負担しているという事実を知らない。学生がデフォルトを数年後に起こるものとして自分の年金について考えているということは驚きだった。若者達が日本にデフォルトが起きることによって自分たちの負債を減らしたいと思ってるという議論があることはネットの情報で知っていたが、まさか目の前にいる学生が似たような考えを持っているとは。
 こうした20代の若者達が政治に関心を持ち、選挙に参加し、投票行動に積極的になったらどうなるのだろうか。 大阪維新の勝利は若い世代が投票に参加したからという指摘もある。賦課方式から積み立て方式を主張する橋下氏の考えは若い世代も共感するのではないだろうか。


生産拠点の空洞化の先にあるもの~日産の快走の背景を読み取る~ [ニュースコメント]

 2月10日の日経朝刊はトヨタが九州生産のSUVをアメリカにその拠点を移すと報じられている。国内300万生産体制を根本的に見直す作業に入ったわけである。円高無策の日本にあってはもはやこのままでは企業として生き残れないという判断をトップがしたのだろうか。もうひとつの理由があるかもしれない。かつてのライバル日産が、ここに来て中国を中心にして販売を伸ばしていることだ。同じ日の日経が日産の躍進について書いている。生産拠点はもちろん開発拠点を現地に移転を進めたゆえの成果だと。
 それは技術者を日本から大量に投入し、現地の研究者を指導しながら生産地に近い立地を最大限利用するとういうもの。開発、生産、販売。製造業のビジネスの根幹の流れを海外に持って行く。このことにより日産の快走があるのだとしたら、それはものつくりニッポンの終焉を意味するだろう。税金を上げて所得の再分配で景気が浮揚するという机上の空論を続けていては日本はさらにアジアの中で富を失い貧しい国へと向かうだろう。五十年後の我々だ。



日本のディレンマ~円高でも空洞化、円安でも空洞化~ [ニュースコメント]

 円高で日本企業が生産拠点を海外にどんどん移している。家電業界にとって中国や韓国のメーカーと渡り合うためにはもはや生産拠点を国内に持つこと自体が弱点となった。政府は中小企業を支援しているだけで大企業にはほぼ無策だ。大企業が海外に生産拠点を移せば中小企業は干上がるのにである。今後はブルーワーカー、さらには地方の雇用が急激に悪化していくだろう。そういう事態が確実に出来する。おそらくは事態が悪化してから慌て出すだろうが、効果的な施策はこの政府では無理だろう。所得の再分配も豊かな経済基盤があってこそだ。
 一方ここに来て円安でも空洞化を促進する要因が指摘されだしている。それは電力供給の不安定である。東日本大震災以来54ある原発の大半が稼働を停止。電力会社はガスや石油の輸入を増加。それが電力使用量に反映し製品の原価に跳ね返る。そうすれば国際競争力に如実に反映する。これが空洞化圧力となるというのだ。
 円高でも空洞化、円安でも空洞化。2月8日の日経記事で日本経済の海外所得頼みの鮮明化が報じられていた。月単位の経常収支は赤字という事態も今後は頻発するだろう。日本経済を様々な要因が衰退へと向かわせている。


牽引役の様変わり~上場企業今期利益ランキング~ [ニュースコメント]

 日経2012年2月8日の一面によると、2012年3月期の予想連結純利益のランキングが内需型の通信や資源高で潤う商社が上位に並び、円高とテレビ不振に悩む家電が消えた。日本の稼ぎ手が製造業から非製造業に、輸出関連から内需関連に移り、産業地図がかわりつつあると報じている。
 日本の経済状況が明瞭に見えてくるこのランキング。政府はどう受け止めるのだろうか。別の見方からすれば貿易収支の赤字化と経常収支減少の具現ともみえる。経常収支の減少は日本国債の信用と直結しているだけに、単に日本経済の成熟の証しと言ってる場合ではない。”新重商主義”に転向した列国は自国の経済構造を吟味しながら何が自国にとって外貨を稼げるのかを考え、そのための施策を行っている。アメリカはシェールガスの発掘でエネルギー自給率を上げようとしている。いろんなことに受け身と無策。日本政府のあり方がこのランキングにほのみえてくる。

海外で作り海外で売る企業しか生き残れないのか [ニュースコメント]

 筆者は政治主導だろうが官僚主導だろうが財政改革と社会福祉改革、そして経済運営をうまく行ってほしいと考える者である。特に経済に関しては民主政権がほとんど空洞化以降の運営に関して手を打ってないことに危機意識を持つ。政局にきゅうきゅうとして余裕がないのだろうか。
 空前の赤字決算は企業の海外シフトに拍車をかけるだろう。6月の株主総会の前に生産拠点を海外に移すことを役員会で決定する企業が続出するはずだ。株主は経営環境立て直しのために生産拠点の海外移転を要求するだろう。株主は当然だが日本人だけではないのだ。生産拠点を海外に移すことは何を意味するのか。非正規の労働者、および地方を中心とするブルーワーカーと呼ばれる労働者の解雇がまず上げられるだろう。企業城下町とされる地方自治体は雇用不安と税収不安に追い込まれる。失業保険と生活保護費の増加。当然技術移転も加速するだろう。輸出立国・技術立国ニッポンが音を立てて崩れる。雇用を創造できない政府は介護や福祉、医療といった税金にファイナンスされた雇用しか用意できない。さらなる消費税率のアップが必要となる。
 政府の無策を消費税率のアップで尻ぬぐいする、この政権ではこの負の連鎖が繰り返される可能性が大きい。 
企業が生産拠点を海外に移すのはまさに生き残るためである。中小企業の支援だけで空洞化対策を行ってるという政府の答弁には脱力しかない。 


B層が支配する政権の座~今年あるとされる総選挙を前に~ [ニュースコメント]

 おそらくは2012年度以内にかならずあるとされる総選挙。前回は民主党が「生活が第一」というマニフェストを掲げて大勝。自民は政権の座を降りた。小泉郵政選挙では郵政改革断行かアンチ郵政改革かで争われ、結果自民が大勝した。その際に言われたのがB層の存在である。B層とは小泉郵政改革を進めるために内閣府に広告会社が提出した概念である。政治に知識は持たず、テレビなどの情報に左右される層で、主婦や教育レベルの低い若年層、高齢者層を指す。このB層が一人歩きし民主大勝の原因の背景ともされた。高村薫氏が「私の周囲には橋下支持者は全くといっていいほどいない」と論評したのに橋下大勝を招いた大阪市長選もkのB層が決定的な役割を果たしたという指摘がある。

 さてこのB層(筆者はあまり好まぬ表現だが) が今度の総選挙でどのような投票行動をするのか注目されている。ポピュリズムだけでは票を稼げなくなったが、とはいえ自分の生活にしわ寄せがくることを嫌がるとされるB層。焦点はやはり橋下大阪市長の動きだろう。マスコミはすでにビルトインされている。みんなの党、石原新党、さらには定見のない民主造反議員、自民を出た泡沫政党などの「抱きつき」がすでに始まっている。公明はすでに選挙協力を決めた。「抱きつき」というのは失礼かも知れない。しかし抱きつきは新自由主義か社民主義か、安全保障問題などで遠心分離機にかけられることとなろう。さらに見逃せないのが皇室制度に関しての考え方だ。日本の本質的な意味での、そして固有の国柄とも言えるこの制度に各パーティーはどう考えるのか。ここまで書いて思った。考えれば考えるほどB層の感性と遠ざかるいうこと。こういうところがやっかいところだ。いずれにしてもB層とポピュリズムの属性と傾向と対策を今必死に考えてる政党幹部。。。こういうところにこの国の停滞の宿痾がある。


二つの総崩れ~民主マニフェストとテレビ産業~ [ニュースコメント]

 <総崩れ>と検索するとずらりと出てくるのが「マニフェスト」と「テレビ」だ。野党や新聞の社説はこぞって「マニフェスト総崩れ」と書き、情報番組やニュースでも野党議員は「マニフェスト総崩れは明らか」と難詰する。一方日本経済、なかでも家電メーカーの赤字のひどさは深刻の度をこしている。かつて家電の代名詞とされた「テレビ」が見る影もない。円高・ウォン安に耐性がなくなった。企業はこの1年で国内工場を閉鎖もしくはテレビ製造自体を根本から見直す状況に追い込まれるだろう。数千億レベルの赤字を続けていては企業は存続できない。税金と国債で賄う政府とは厳しさが違うのだ。
 「民主マニフェスト」と「テレビ」。この二つの総崩れをつなぐ接続線はなんだろうか。2つあると思う。「ビジョンのなさ」と「スピードの遅さ」だ。逆に言えば明確なビジョンとスピードが今必要とされているのだ。橋下氏の大阪維新に国民の関心と期待が集まるのはこうした理由があると思う。
 


総崩れの日本企業のアジェンダ~脱輸出型への転換~ [ニュースコメント]

 パナソニックの大坪文雄社長は3日、決算説明会で「2012年度にV字回復を果たす」と述べた。12年3月期に過去最大の最終赤字になる見通しであることに関連して言及したのであるが、経営の抜本的な変更を言外ににじませている。その中身は「液晶パネルの非テレビ用途を50%を超える水準に一気に高める、モバイル端末やビジネス用途の展開をしており、医療関連などグローバル企業から採用を決定してもらっている」と説明している。「テレビ事業の高付加価値化を進める」ということらしい。同じ赤字決算のソニーもシャープも東芝も同様な経営改革を進めるだろう。パナソニックだけが飛躍的にV字改革を2012年度に達成できるとは到底思えない。

 一年に7800億円の赤字は巨額だ。サンヨー買収の費用が嵩んだとはいえ、数千億規模の赤字が数年続けば会社は破綻する。岐路に立たされた経営者。恐らく大坪社長の頭の中にはさらなる改革案があるのではないか。生産拠点をすべて海外に移すという案だ。「生産拠点原則海外」をすでに実施しているのが東芝である。テレビを例にしよう。家電量販店に行くと同じ画面の大きさでも他社に比べ圧倒的に安価なのが東芝である。東芝は減益ながら安定収益を確保している。

パナソニックは昨年九月に国内にある部品や原材料の調達・物流両本部の機能を、20124月をめどにシンガポールに移転する方針を明らかにした。その近隣周辺の東南アジア諸国に生産拠点を点在させるという戦略を前提にしていることは自明である。アジアの成長を取り組んだ模範解答だ。 おそらくこのパナソニック型(敢えてそう呼ぶ)空洞化対策は他の製造業も考えているに違いない。いや実態は進んでいる。タイの洪水の際、バンコク郊外にあれほど日本企業が集積しているとはと多くの人が驚いた。さらにその物流の拠点までが海外に移転していく流れ。明治以来ものつくりにレゾンデートルを置いてきた日本が問われている。システムを変えるるしかも早急に行わなければならないのだ。

ソニーがトップ交代を発表した。おそらくパナソニック以上の改革を51歳の社長は行うだろう。キャノンは元経団連会長の御手洗氏がキャノンの会長も社長も兼務することとなった。脱輸出型の製造業の転換。塗炭の苦しみがあるかもしれない。我々は乗り越えれるだろうか。


空洞化に抵抗は無駄だ [ニュースコメント]

 

シャープがパナソニックが東芝が赤字もしくは減収減益の決算を発表している。そして先週は31年ぶりの貿易赤字と1月も1兆近い貿易収支の赤字のニュース。年が明けても日本の製造業の苦戦は続く。生産拠点を日本に置くだけでグローバリズム経済では大きなハンデを背負う今の状況。空洞化は生存をかけた企業の選択である。筆者が以前に指摘したように所得収支で稼ぐシステムに早く移管しなければ日本経済は確実に衰退してしまうだろう。今の円高がつづいている間にそうした枠組みを作る必要があるのだが民主政権にはそうした政策は用意してるのだろうか。放置していると大量の工場労働者が失業してしまう。

むしろ空洞化はさけることのできない産業構造の変換ととらえ、ロイヤリティーで収入をあげるビジネスを業種の如何に限らず海外に展開し、そこであげた収益を国内に環流させる法律的な支援が必要と考えている。また西欧の帝国主義、植民地主義の象徴とされた東インド会社のようなものを各経済地域に作り、日本企業の海外展開の支援をはかるべきだ。日本貿易振興機構(ジェトロ)は機能してない。

世界のルールが変わったのに未だに昔のルールで商売している日本株式会社。システムを代えること決断と実行のスピードをあげること。これが国家資本主義に対抗する現段階の術だ。


円高でも円安でも空洞化は止められない~ディレンマの日本~ [ニュースコメント]

民主が政府調査会の下部組織として円高対策チームを結成したと報じられている。トップには仙谷元官房長官が就いたという。家電業界が総崩れの中ですでに遅すぎた動きであり、今年中に噂されている総選挙を前にしたアリバイ作りにしかとられないだろう。しかしここで留意しなければならないのは。単純に円高阻止だけでは空洞化は止めることができないことだ。背景は福島原発事故だ。2011年度の日本の貿易収支は31年ぶりの赤字となった。その大きな理由が化石燃料の大量購入だ。原発再稼働問題を抱えてる日本。国がエネルギー供給の道筋を明確に示さず、原発再稼働に自治体や反原発派の意向を伺うだけでほぼ無策の状態では電力会社はガスや原油を購入することで冬や夏の電力需要に備えるしかない。電力会社の経営基盤を脆弱にさせ、貿易赤字も膨らむばかりだ。そこへ円安圧力がかかると燃料費は高騰する。結果は企業の電力使用料の値上げにつながる。日本の企業向け大口電力使用料は韓国の3倍といわれる、それがさらなる値上げとなっては企業は国内での生産の採算がとれなくなる。勢い生産拠点を海外に移すということになる。円高と原発再稼働。この二つのディレンマを克服しなければ空洞化は止められないのである。

民主主義の終焉~アメリカ・ギリシャ、そして日本~ [ニュースコメント]

 ダボス会議では世界経済のソブリンリスクについて議論が交わされた。リーマンショック以来、人々の価値観の中で一対のものと思い込んでいた資本主義と民主主義に乖離が顕著になった。しかもEUの経済危機でさらなる遠心分離が働いてるようである。昨年夏のアメリカのデフォルト騒動、そしてギリシャ政府の迷走。財政危機の基底には決断できない、そしてポピュリズムに支配された民主主義の危うさがある。年ごとに総理を代える日本もその例外ではなく、むしろ先頭を走っているといってよい。第二次世界大戦で連合国が勝利し、ベルリンの壁崩壊とソビエト連邦の解体は資本主義と民主主義の勝利であるとされた。両者はコインの裏表であり、二十世紀末の時点で多くの人々がこのアメリカ的価値観がこれからも続くと信じていた。

 10年を経た今、我々が直面しているソブリンリスクは資本主義の暴走とそれを制御できない民主主義の狼狽である。さらに世界経済に影響力を増しつつある中国は民主主義の手続きを経ない独裁的かつ迅速な決断で経済施策を打ってくる。かつては開発独裁は富の蓄積と経済の成熟化で民主的な運営に移行するとされた甘い予想は今見向きもされない。

 我々は民主主義と決別かもしくは距離を置かねば豊かさも、国の形も維持できないのであろうか。処方箋はあるのだろうか。筆者は今こそ日本的価値観を見直す時期だと思う。行き着くところは天皇の制度と政治のあり方である。ここで心したいのは左右のイデオロギーに影響なく、もう一度見つめ直したいのである。かつて埋棹忠夫が提唱した文明の生態史観は第三の視点を提示してくれたが時期が早すぎたように思える。しかし現実が思念を先取るかもしれない。デフォルトの危機を我々は常に感じながら日々生活している。何かが胎動しているような気がするのである。


政府は税金にファイナンスされない雇用を創造できるのか [ニュースコメント]

 菅前総理は「強い経済を作る、それには一に雇用二に雇用だ。そのためには税金を雇用に回して景気を高揚させ内需を拡大させ、結果また税収を上げる」という夢のようなサイクルを語っていた。それが画餅であり、ポピュリズムそのものであったということは間違いない。菅直人氏は弱点を言葉で覆うという詐術を用いた。脆弱性を内含するものに敢えて「強い」という形容詞をつけるTPPやストレステストなど政権が窮地に陥ると第三の論点を持ちだしたのと同様である。話を元に戻そう。菅直人氏の財政・経済運営は公共事業に回していた税金を社会・福祉に回して、それが経済循環すれば内需が拡大し、結果税収もあがるというもの。おそらくは支持組織の連合などを強く意識した政策である。ダムなど公共事業に巨大な税金を投入し世界恐慌から脱出しようとしたケインズ政策の社会・福祉事業版ともいえる。ただし結果は惨憺たる状況である。東日本大震災が起き、巨大な公共事業費が投入されることになった。しかも円高・高い法人税、電力料金値上げと供給不安で空洞化が進み、家電産業ももちろん自動車産業も生き残るためは国内工場を閉鎖し生産拠点を海外に移さざるをえなくなった。 貿易収支も31年ぶりに赤字となり、この先経常収支も赤字となる見込みが強い。消費税の値上げは焼け石の水となりさらなる消費税率の増大が必要となる。サイクルは夢のプラスサイクルどころか負のサイクルになりつつあるのだ。しかもIMFは消費税10パーセントどころか15パーセントが必要と表明、財務省は消費増税後も国債増が必要という試算を発表するなど、菅氏のポピュリズム財政・経済運営がさらに日本を破滅に導きつつあることを証明、もしくは予兆を伺わせている。円高などによる企業の空洞化、日本の技術移転はもはや抵抗できない状態。ならば 国は何を行うべきなのであろうか。ぞれは税金にファイナンスされない産業を創造し、育て、そこで雇用を創り出すことだ。筆者が繰り返し指摘しているエネルギー・資源産業を創るのは一考だ。脳科学の成果と様々な既存産業を結びつけるのもひとつだろう。そうしたもの巨大な税金を投入する。低所得者に1万円配っていても絆創膏を貼ってるに過ぎない。癌に罹患した患者に絆創膏を貼っている、それが今の民主党政権の経済運営だ。


アジアの学生と競う就活 [ニュースコメント]

 円高・空洞化のしわ寄せは学生達の就職活動にも影響を与えている。生産拠点をアジアに移したり、縮小した国内市場に見切りをつけたりした企業が採用にもアジアの学生を大量に取り出しているのだ。今アジアの国々の教育は日本の40年前の厳しい受験戦争の状態。大学に入っても猛勉強して外資の企業に入り高給を得るのが豊かさを得る道だ。もちろん母国語、英語、そして日本語にも堪能な学生達が大挙して日本企業の採用の窓口に集まる。彼らはプレゼンにも長け、自信に満ち、人を押しのけても自分をアピールする。今日本の大学生はこうしたアジアの学生とも競わなければ正社員の地位を得ることができないのだ。大学生はまだ競う機会があるが中学・高校生の場合は深刻だ。生産拠点が海外に移ることで国内の工場がどんどん閉鎖・縮小していく。採用枠がないという事態が出来している。

 製造企業の生き残りは生産拠点を海外に移すこと。これが続けば雇用は益々悪化するだろう。政府は中小企業に緊急雇用調整金を出すなど対策をしているというが大企業が海外に出れば中小企業は干上がる。経産省は立地支援などをやっているというが世界一高い法人税と電力供給に不安があり、韓国の3倍高力料金などの電力事情考えればいいわけ程度の施策に過ぎない。企業の成長戦略と政権が描く成長戦略の方向がずれてるかもしくは180度違うのだ。

 

 

 


新重商主義に思う [ニュースコメント]

佐藤優がいう「新帝国主義」とは今国際経済で議論されている「新重商主義」にほかならない。政経表裏一体のこの様相は先般放送された「坂の上の雲」でロンドンで外債獲得に躍起する高橋是清を見るに同じ。100年前の国際情勢を想起させる。日経24日夕刊「十字路」でみずほ総研の高田創は「新重商主義の戦場」と題したコラムの締めくくりで、「現在の日本に「坂の上の雲」たちの先人の危機意識はあるのか 」と問いかける。国債の評価で生き残りをかける「ソブリンワールドカップ」の時代。その勝負の尺度は経常収支の黒字か赤字。高田の指摘を待つまでもなく、ユーロ危機で我々が知るところである。本日日本の貿易収支が31年ぶりに赤字(2.4兆円)になったというニュースが。さらには経常収支までが赤字の危機にさらされている十の指摘。われわれ国民は豊かさを急激に喪いつつある

 アメリカに関するニュースがある。急激にエネルギー自給を高めているという。シェールガス増産と沖合油田開発で2035年には輸入の割合を13パーセントにするという。オバマ政権のイラク撤退、太平洋へのシフト変更はこうしたエネルギー政策が原動力になっている。TPP推進の背景でもあるわけだ。

翻って日本。筆者はかねてより日本復活の入り口は資源立国であり、海洋に眠る資源をテクノロジーによって生産することが興廃の決め手となると記した。エネルギー政策と日本のテクノロジーをさらに高度に応用しなければ生き残れないわけだ。福島原発事故の際、政府に当事者意識がまったくなく、総理は東電批判を繰り返し、電力供給について何も手を打たず、ただ脱原発を謳い、世論の批判をかわしていた。さきほどの報道で原発事故収拾の際の議事録も取ってなかったという愚かさを露呈した。

 新帝国主義と新重商主義。浮沈を決めるのはエネルギー政策だ。 


少子化との闘いは五十年戦争 [ニュースコメント]

 先週プライムニュースで大学生達が今現在の政治観、職業観、結婚観、家庭観を語っていた。結婚観、家庭観についてはほとんどが結婚したいとし、こどもは二人以上と述べていた。しかしそのための経済的余裕がないとも。「結婚したいが金がない」これが若者達の気持ちだろう。

 少子化はジェネレーションにまたがる問題である。本来なら三十年前に解決策を講じていなければならない問題だった。すなわち団塊の世代が30代の時期だ。いまさら過ぎたことをいうつもりはない。少子化を克服するにはやはり30年は少なくともかかるということだ。とにかく団塊の世代が年金を受け取り続ける30年から40年間は緊急事態である。年金給付の削減から我々は逃れることはできないだろう。それでも年金制度を維持できるかはわからない。若い世代には3人以上の子どもを持てば豊かに暮らせるようなモチベーションを早急に作るべきだ。また地域ごとに合計特殊出生率を発表し、2.1以上の数値を出している自治体には補助金などで優遇する制度もぜひものだ。きれい事をいえる状態ではない。産めよ増やせよ政策を断行しなければ、我々は年金もない健康保険制度もない、生活保護もない、セイフティネットのない国に向かっていることを自覚すべきだろう。どこかの国に頼ることはできないのだ。日本はドイツがあるギリシャではないのだ。

 すでに遅きに失した少子化対策。解決には強烈な副作用と痛みを伴いながらおそらくは五十年の年月が必要となるだろう。解決のためにこの国の民主主義が対応できるのか?戦う覚悟があるのか。若い世代に期待するしかないし、我々はそのために豊かさ、快適さを捨てる覚悟もいるだろう。


廃校校舎に職業訓練学校設立~財源は生活保護費の2割カッでト~ [ニュースコメント]

 円高・電力供給の不安・生産拠点の海外移転で大量の失業者が予想される。すでに若年失業者の増加は就職できない若者達があふれているのをみれば容易に理解できる。だが政府は根本的なセイフティネットを果たして構築してきたか。また雇用安定を企業に任せきりにしてなかったか。筆者はここで提案をしたい。それは少子化で廃校になった学校に職業訓練学校を作ることだ。ここで大事なのはその中身だ。たとえば生産拠点が容易に海外に移動しない製造業 、コミニュケーションが取りづらいひとでも稼げる職業、社会的責任を果たしていると実感できる仕事、語学を生かせる仕事など、その人その人の職業適性をいろんな角度から測れる適正テストを付帯させる。これまでの職業訓練はパソコンの学習や木工の実技研修などおざなりかその人間に果たしてあってるかどうかわからない職業訓練を施すだけでなかったか。さらにはこの仕事の社会的な意義や将来性まで含めた授業を行うべきなのだ。場所は廃校校舎で財源は生活保護費2割カット。年金よりたくさんもらえる生活保護費に批判もある、デフレで工夫さえすれば食費や衣料費も安く済ませる時代だ。甘い時代は終わったのだ。


貿易収支31年ぶり赤字の意味 [ニュースコメント]

 財務省が貿易統計を発表し、2011年の貿易収支が31年ぶりに赤字になることが決定的となった。所得収支が堅調でまだ心配はいらないという指摘もある。しかしEuro危機や円高、中国・韓国の家電・自動車産業の猛迫を考えれば、この貿易収支赤字は長期に渡って続くと見るのが大方の意見だ。つまり稼ぐ力がなくなりつつあるというわだ。これまで日本は貿易収支黒字を前提として社会制度の設計を行ってきた。税体系はもちろん、年金、健康保険制度もそうだ。その前提である貿易収支黒字が今消えつつあるのだ。このことに対し政府や国民は意識が甘いように思う。所得収支アップの施策を考えるのはもちろんだ。だがそれだけで十分なのか。このところあらゆる経済現象が日本経済の衰退と財政破綻に向かっているように思う。原発停止で世界の化石燃料を買い漁っているがこんなことはいつまでも続けられるわけがない。電力会社は早晩資金ショートするだろう。東京電力だけではなない、全国の電力会社が超過債務に喘いでいるのだ。これを国有化する体力が日本政府にはあるのだろうか?もし電力会社が破滅的になり、融資を海外の金融機関や、エネルギー企業に求めるようなことは出来しないのか。日本が経済大国になるためにとったモデルを今、中国・韓国はもちろん数多くの国が採用しだした。グローバリズムはコストの安い発展途上の国に有利に働き、人件費の高騰したすでに成熟した国家には不利に働く。今の状態では貿易収支黒字化はないとみたほうが正しい。危機意識の欠如。日本人の愚かさがこの危機を招いている。

日本のディレンマ~ホルムズ海峡封鎖と原発停止~ [ニュースコメント]

9日の日経で日本の貿易収支が31年振りに赤字になったという記事が出た。しかもこの傾向は長期に亘って定着するのだという。さらには2010年代半ばには経常収支が赤字になると。賴みは海外からの所得収支だがこれも低金利の時代にあって多くは見込めないという。国の崩壊の音が聞こえる。貿易収支の主因は原発停止による化石燃料の燃料費の増加と円高である。しかもここに来て中東から不穏な情報が流れてきた。イランによるホルムズ海峡封鎖である。日本向けの原油輸送の9割がこの海峡を通過するという。原油価格がさらに上乗せされれば貿易収支はさらに赤字を増やす。当然電力料金にも跳ね返る。企業は大企業・中小企業問わず生産拠点を海外に移し出す。原発再稼働にあたっては国は原発地域の自治体の意向に敏感にならざるをえず、本格的な再稼働は困難である。このままでは日本は崩壊、そして貧困に向かっていく。破滅への衝動ともいえる負のエネルギーが沸沸と充満しだしている。政府もそして国民も鈍感だ。

特別な紅白平成23年~鎮護のイニシエーション~ [ニュースコメント]

 昨年の紅白歌合戦。日本国民の中にはいつもとは違う思いで視た人が多かっただろう。理由はいうまでもなくあの震災である。万感胸に迫り、画面に向かって祈る松任谷由美、そして震災地で荘厳な照明を浴び歌う長渕剛。彼らをみてある感慨に入った。そして思った。これは鎮護国家の法要であると。東大寺大仏殿の開眼法要、元寇戦没者追悼の為の円覚寺開山法要にも匹敵するものではないかと。厳密には鎮護国家や仏教の教えとは異なるだろう。しかし今回の紅白歌合戦は震災で命を落とした人々、今も復興への闘いを続けている人への癒しと励まし、そして祈りの意味において前者の二つと共通の思いがあるに違いない。この国とこの国に住む人々、つまり日本と日本人の自らの宿命を乗り越えるためのイニシエーションともいえるのではないか。歌には、そして歌手にはそのイニシエーションを担う力がある。災難を乗り越えるinitiationは終わった。年は明けた。我々はまた一歩前に進むことになる。

マニフェストにこだわりがなくなった民主党&政権 [ニュースコメント]

 八ッ場ダムが工事継続となった。新報道2001で片山前総務大臣が指摘するようにこれはこども手当や高速道路無料化といった「金がないから」というのではなく「マニフェストへのこだわりのなさ」がその理由だ。ここにいたってはこの政権の主たる意志決定はマニフェストといった政策ではなく「政権維持」に基づいて行われる状態である。

 治める力の不足。これはもはや国内だけで論じるだけではなくなった。EUのソブリンリスクはグローバル化であっという間に国境を越える。これが治める力を喪失した日本に突如襲いかかるのは非現実であるとはいえない。

 グローバル化で日本の生産拠点が次々と海外に移動した。非正規労働者が増え、中間所得層が消えた。格差社会。 若者にも貧困が増えている。原発事故で電力供給に不安が生じ、さらに工場移転に拍車がかかっている。電力会社は火力発電稼働のために石油やガスを購入する。富がどんどん流れていく。経常収支も危ういものになりつつある。こうしたことをただ傍観しているとしか、もしくは議論を装い、何も実行しない民主政権。

 2012年から3年間。日本はソブリンリスクの影に怯えつつ経済と社会を運営していかねばならない。そのことに対する危機意識が現政権に感じられない。 


膨張中国を読み解く~WEDGE2012年1月号~ [ニュースコメント]

試練の2012年まであと一週間あまり。オピニオン誌は新年号を発売し、来るべき年の動勢を伺う。WEDGE1月号の特集のタイトルは「膨張中国 目を覚ませ日本」である。軍備、経済、そして外交において欧米のregulationからはみ出した拡張を続ける中国とどう向き合うか、5人の識者が論述を寄せている。筆者の興味を引いたのは中西輝政氏と谷内正太郎正太郎氏のTPPへの考え方だ。中西氏はベトナムに注目する。国内産業への打撃を考慮してもTPPに参加する共産主義国家。夏以降ベトナムの政府首脳が相次いで来日今のし、日本のTPP参加を強く促してきた。また経済やマスメディアの日本への交流アクションも夏以降活発化したと聞く。 背景にあるのは「中国主導のアジアを作らせまい」との強い意志である。ベトナムはあえてかつての敵対国アメリカとも手を結んだ。TPPが貿易面でなく安全保障の面で意味を持ちうると早い段階から述べているのはJR東海会長の葛西敏之氏だ。昨年11月の読売新聞ですでに「TPPは自由と繁栄の弧の展開型」という見方を披露している。それは谷内正太郎氏が言う「自由で開かれた貿易体制を構築することが中国を包囲することになる」と共通した認識である。中西氏のいうようにTPPは日本の国家存続のための最後の一里塚のようなものだ。TPPに参加することで首の皮一枚でつながっているという指摘もある。二十年間の無策の結果最後に残ったカードといえる。

 今朝の テレ東「田勢康弘の週刊ニュース新書」で田勢氏は今の日本を一言で表す言葉として「幼児化」という文言を引き出した。これは田勢氏はじめマスメディアの責任が重大だ。ポピュリズムとルサンチマンの蜘蛛の巣に日本をおとしめたのはマスメディアである。そのマスメディアもネットで袋だたきにあっているのが現実だ。

 話を中国に戻そう。今日本に足りないのは中国との長期的ビジョンにたった戦略だ。そして危機感だ。ディズニーランドで夢のような時間は終わったのだ。楽園を一歩出ればオオカミやライオンj、虎のうなり声がしているのだ。


安穏な政権継承を望む中米韓 [ニュースコメント]

 金正日亡き後の北朝鮮情勢であるが六者協議の参加国である中国、アメリカ、韓国は本音では統一を望んでいないと思う。中国は本音ではない。バッファーゾーンである北朝鮮が失うことは外交防衛上の大きなリスクである。アメリカはイラク・アフガンで疲弊した今、極東で戦乱が起きる状況を望んでいない。そして韓国。難民問題や南北統一によるコストを恐れている。

 さて日本はどうだろうか。統一コストを要求される恐れがある。難民問題もある。残るはロシアであるが立場は中国と似てはいるが、むしろ統一した後の影響力をどう担保ないしは保持していくことに関心があるだろう。参考になるのは日露戦争当時の対朝鮮半島政策だろう。

 米中露韓に共通していることがある。それは2012年に権力者の交代、もしくは選挙の年だということ。そのため政治は内向きになる。この時に余計な変数を加えたくないのである。

  各国の思惑が錯綜しつつ安穏な政権交代を望まれる北朝鮮。貧困と飢餓に苦しむ人々はそのままである。しかしそういうときにこそ歴史は皮肉な作用をもたらす。2012年の極東は大変な火種を抱え込むことになった。 


北朝鮮情勢の不透明さ [ニュースコメント]

 2011年の年末にきて極東アジアの政治に歴史的変換点が訪れた。いうまでもなく金正日氏の死亡だ。「拉致実行命令者とされる彼は司法の場で真相を供述せねばならない」という拉致被害者の思いも叶わぬものとなった。拉致問題、核兵器、核兵器輸出、ミサイル問題。。。北朝鮮は隣国、そして世界の安全保障に困難な問題を突きつけている。その総責任者が国際政治から退場。死因は心筋梗塞かどうかはわからない。世界の注目はあとに残された28歳の三男金正恩が政権を継承できるかどうかだ。金正日派と金正恩派の抗争が始まるとの憶測もある。大方は波乱もなく継承は進むのではというのが専門家の見方だ。はたしてどうだろうか。ポイントは後見人とされる叔母の夫張成沢氏と李英鎬 氏の存在だ。この2人の権力闘争が始まる可能性を筆者は指摘しておく。日本史を遡ればこの情況は豊臣秀吉死直後の1598年の日本の情況に似ている。幼少の秀頼を徳川家康と前田利家が支えるという構造だ。家康は李氏、前田氏は張氏か。この時は利家が秀吉の死後八ヶ月で死去し権力は家康に傾いていくことになる。歴史とは繰り返すとは思わない。だが権力拮抗の構図が似ている場合は歴史に関係なくパワーゲームは類似の作用を伴う。2012年は世界中で権力交代とelectionが行われる年。まさに激動を迎える。起点のひとつが東アジアになるのはほぼ間違いないだろう。


2012年「起きろ、飛び出せ、日本」~日経「大機小機」~ [ニュースコメント]

 「もうお金もない終わった国」と途上国から揶揄されていると、冒頭の書き出しで日経「大機小機」が2012年の日本のやるべきことについて記している。ほぼ同意だ。惰眠と引きこもりから脱出せよ。TPPはその目覚まし薬であり、かつての黒船だ。多難は承知だが、乗り越えなければならないのである。1930年代 の世界に今は酷似していると思う。恐慌からブロック経済に移行の過程にあるのではないか。経済と外交防衛は裏表である。TPPは経済連携協定だけではないのは明らかだ。しかし歴史は繰り返すという安易な発想は持つべきではない。国家存亡の危機を前に我々はどう備えるか。一言で言えばとにかく起きろ、飛び出せなのだ。同意だ。


新党構想に思う [ニュースコメント]

この時期12月は新党構想に関心が集まる。政党交付金の問題からというのが理由だが、今年の12月の新党結成への動きはいつにも増して活発だ。橋下旋風と来年有ってもおかしくない総選挙がキーマンの念頭にあるのは間違いない。先週は新党大地の鈴木代表が出所、自民党から社民党まで多くの国会議員が彼の仮釈を祝った。議員立候補の権利がないとはいえ、役者不足の永田町での待望の復活。しかもこの時期である。国会が閉じ年が改まるまであと半月ばかり。永田町はどうなるのであろうか。だが新党構想に思うことがある。政策協定をしっかり結んでもらいたいのだ。外交安保、消費税、郵政民営化法案、そしてTPP。こうした国家のベクトルを決める枢要な政策についてしっかりと玉虫色でなく明確な政策協定を結ぶべきと思うのだ。たとえば橋下氏に秋波を送る国民新党お亀井静香氏。たとえば橋下氏の選挙カーに乗り込んで大阪維新を支持したみんなの党の渡辺喜美氏。両者の政策が一致するとはまったく思わない。その彼らが糾合して政党が作られてもはたして国民は支持するのだろうか。現在の国政の混乱は民主党内での政策や意見の不一致に因るところが大きい。同じような愚をおかしてはならない。


GM帝人と炭素繊維で提携 [ニュースコメント]

今朝の日経一面でGMが帝人と提携し炭素繊維を使った量産車を共同開発するというニュースが掲載されていた。先にボーイング社と全日空、東レが炭素繊維などの技術を使って燃費効率のいい機体を開発したニュースを知っていたが、ここに来て炭素繊維素材メーカーが鉄に代わる素材のテクノロジーを有する企業ということで脚光をあび出してきた。自動車や飛行機はもちろん、船や建築、エレベーター など用途が広がるのえではないだろうか。今開催されている東京モーターショーでは端末としてのcarに注目が集まったが、鉄の固まりではなく炭の固まりとしてのcarがこれからの車の基本になるやもしれぬ。。石から鉄にそして炭に。軽くなることで何が可能になり、開けてくるのか。創造するだけで楽しい。家電もかなり軽くなるのでは?

家政婦はミタにみる日本の縮図 [ニュースコメント]

「日本の縮図」などと書いて大所高所からものをいうつもりはないが。この番組が30パーセントの視聴率をとり、2011年のテレビドラマで最高視聴率をとるのは日本の今と強くリンクしているからだと思う。この番組を知らないひとに簡単に解説する。主人公の三田灯(みたあかり 演:松嶋菜々子)は家政婦。夫の不倫が原因で妻が自殺した家庭に家政婦として働いている。家庭には子どもが4人。妻の死の原因が夫の不倫であることが明らかになり、家庭は破綻し、夫は不倫を清算できないまま会社を馘首になる。完璧な仕事をこなす三田。しかし表情には笑顔はなく、業務命令には機械的なまでに忠実。しかしこの行動と振る舞いには凄惨な過去があった。トリックスターの役割を演じる三田。家族のコミュニティの破壊と修復、そして成長の物語。。。。。というものである。家族はそれぞれにありがちな問題を抱えている。不倫、不純異性交遊、いじめ。まともなキャラクターは幼稚園児の末娘くらいだ。どこか卑怯でうそつき、責任逃れに自己保身といった性向を持っている。他者の誤りや責任を追及するが自分には甘い。そういった危うい者同士が構成する家族に三田の冷徹な行動に依存し、振り回され、そして彼女の過去を知るにつれ自分をみつめなおし、家族をみつめなおし、そして絆を 絆を再び強める。筆者には視聴者はその家族に自分の家族を当てはめてみているのではと思う。阿須田家は現代のリアルなサザエさんの磯野家だなと。ここは同じだ、ここは違う。ここに共感するなどと思いつつみてるのではと思うのだ。毎回番組の冒頭で何気に用意された物や台詞がラストの芝居場で効果的に演出される手堅いシナリオはこの10年ほど小劇場でよく使われた演出だ。手堅いなと思う。筆者はこの阿須田家は今の日本社会そのものなのではないかと考える。家族を構成するものたちの危うさ、そして自信のなさはそのまま今のこの現実の社会である。職場でこの番組を見てる?って聞いても誰も見てるといわない。見てるというのが恥ずかしいのか、それとも職場で働く人とこの阿須田家はまったく違う次元で家族生活を行っているのか。おそらく前者だと思う。冷徹で完璧な三田との交流によって自然と家族の絆を再生する阿須田家。日本社会も何か他律的に今抱えている課題を解決できたら。。。そうした魂胆を抱えつつ日本国民という集合体はこの番組を見ている。だから30パーセントなのだと筆者は思うのである。最終回はどのような結末を迎えるのであろうか。
タグ:家政婦
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